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消極財産(債務)を調べる方法(相続放棄②)

2023-07-17

 亡くなられた被相続人の相続財産には、不動産や預貯金等の積極財産の他に、借入金や税金等の日常生活によって生じた債務等の消極財産があります。この消極財産が存在すれば相続人が返済をする必要があり、相続放棄を検討することが必要になるため、まず消極財産が存在するか否か及びその額について調べる方法を知っておく必要があります。

①まず、被相続人の遺品の中から契約書の存否を確認する。

②次に、契約書が存在していなくても、預金通帳の出金履歴や親への郵便物税務申告書納税通知書、により債権者を把握し、債権者に照会する。

③さらに、金融機関、クレジット会社及び貸金業に対する借入は、信用情報機関に記録されているため、個人信用情報の開示を受けることにより借入先を把握することが可能です。

   この信用情報機関は、3つあり、各々以下の企業が加盟しております。

 (最近では、郵送での照会の他、インターネットを利用した照会も可能となっている機関もあり、より調査しやすくなっております。)

信用情報機関主たる加盟企業
株式会社日本信用情報機構(略称:JICC) (https://www.jicc.co.jp)消費者金融
株式会社シ-・アイ・シー(略称:CIC) (https://www.cic.co.jp)クレジットカード会社
一般社団法人全国銀行協会(略称:全銀協) (https://www.zenginkyo.or.jp)銀行

相続放棄をした場合、生命保険金を受け取れるか?(相続放棄①)

2023-07-13

相続放棄すると亡くなった父や母の生命保険金は受け取れるかについては、保険契約または約款などにより、保険金受取人がどのように定められているかにより結論が異なります。以下、3つのケースについて解説します。

1-1.特定の保険金受取人が指定されているとき

生命保険契約において、特定の保険金受取人が指定されているときには、相続放棄をしても生命保険の死亡保険金を受け取ることができます。死亡保険金を相続するわけでは無く、生命保険契約に基づき、保険金受取人としての固有の権利により受け取るからです。

1-2.保険金受取人が相続人となっている場合

生命保険契約で特定の保険金受取人が指定されておらず、約款などにより保険金受取人が相続人となっている場合も、相続放棄をしても生命保険の死亡保険金を受け取ることができます

この場合の本件保険金請求権は、保険契約の効力が発生した被相続人死亡と同時に、相続人の固有財産となり、被保険者である被相続人の相続財産より離脱しているとされます。相続財産では無いから、相続放棄しても受け取ることができるわけです。

1-3.保険金受取人が被相続人となっている場合

生命保険契約または約款により、被相続人が保険金受取人となっているときには、相続放棄をすれば保険金を受け取ることはできません。この場合には、被相続人の保険金請求権を相続することにより、保険金を受け取る権利を持つことになるからです。

相続放棄は、多くの論点があり複雑です。自分一人での思い込みだけで考えることは危険です。当事務所では、相続放棄の相談も積極的に受けております。お気軽にご相談ください!

登録免許税0円で相続登記できました。

2023-07-12

 5月27日に投稿した記事の簡略版の登記を先日申請しました。地方都市の郊外の4筆の土地の相続登記につき、いずれの土地も100万円以下であったことから租税特別措置法第84条の2の3第2項(※)を根拠に登録免許税は0円でした。 地方には100万円以下の土地は多くあります。地方に相続登記未了の土地をお持ちの方は、ぜひご相談ください!

(※)不動産の価額が100万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置租(税特別措置法第84条の2の3第2項)
 土地について相続(相続⼈に対する遺贈も含みます。)による所有権の移転の登記又は表題部所有者の相続人が所有権の保存の登記を受ける場合において、不動産の価額(※1)が100万円以下の土地であるときは、平成30年11月15日(※2)から令和7年(2025年)3月31日までの間に受ける当該土地の相続による所有権の移転の登記又は令和3年(2021年)4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に当該土地の表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存の登記については、登録免許税を課さないこととされました。

                     (国税庁ホームページより抜粋)

代表取締役名義の不動産を会社名義に変更する方法

2023-07-12

 代表取締役名義の不動産を会社名義に変更する手続きの相談をうけることがあります。例えば、代表取締役様の相続対策として予め相続財産から外し、会社名義に変更することについて相談を受ける場合が典型例です。なかでも相続登記と会社名義に変更する登記とでどれくらい費用の違いがあるかを聞かれ場合があります。                                    

 例えば土地が5000万、建物が1000万とした場合、相続を原因とする所有権移転登記をする場合は、総額約33万円(報酬7.7万+登録免許税24万+実費1.3万)です。         会社名義に変更する登記は売買を原因とする所有権移転登記手続きによるため、総額約175万(報酬8.8万+登録免許税165万+議事録作成費用1万円+実費0.7万)です。

 上記の数字は、登記手続きのみに関する費用です。実際かかるその他の税金を含むものではないため税理士さんとよく相談したうえでご決断ください。

 さらに、登記手続き上注意すべき点は、この代表取締役と会社間の売買が利益相反取引(会社法356条)にあたり、取締役会設置会社においては取締役及び監査役全員の実印による押印と印鑑証明書をご準備いただく必要があります。

 当事務所では、税理士先生とコラボして、相続手続き及びそれに関連する手続きを積極的に受任しております。お気軽ご相談下さい!         

登記簿をみればその不動産の所有権の登記名義人の死亡の事実を確認することが可能となります(所有権登記名義人の死亡情報の符号の表示制度)   

2023-06-08

 令和8年4月までに不動産登記簿をみればその不動産の登記名義人の死亡の事実を確認することができるようになります。

 現行の法の下では、特定の不動産の所有権登記名義人が死亡しても、申請に基づいて相続登記がなれされない限り、当該登記名義人が死亡した事実は不動産登記簿に公示されないため、登記記録から所有権の登記名義人の死亡の有無を確認できないでいました。しかし、これでは、例えば事業用地の選定を行う民間事業や公共事業の計画において、所有者の特定に困難が生じ、交渉の手間やコストが見積れず事業用地の円滑な選定に問題が生じていた。そこで登記官が他の公的機関(住基ネットなど)から取得した死亡情報に基づいて不動産登記に死亡の事実を示す符号を表示することとしました。

 これにより相続登記未了の不動産がすぐわかるようになり、相続登記及びその後の不動産の売買の促進に役立つことになるでしょう。                               当事務所では、新横浜を中心に相続登記を積極的に受任しております。お気軽にご相談ください。

 

亡くなられた方の不動産を調べる方法(所有不動産記録証明制度)

2023-06-03

 相続登記のご依頼があった場合、まず相続登記の対象となる不動産を確定する作業から開始します。現行の不動産登記法の下では、登記記録は、土地や建物ごとに作成されており(物的編成主義)、日本全国の不動産から特定の者が所有権の登記名義人になっているものを網羅的に抽出する仕組みは存在しておりません。各市区町村単位でのみ特定の者が名義人となっている不動産を一覧化した書面(名寄帳)の利用及び固定資産税納税通知書並びに相続人へのヒアリングを頼りにその不動産を確定していく、これが現実の方法となっております。ただ、これでは相続人が把握していない不動産は見逃され相続登記がなされないまま放置されてしまう事態が生じておりました。

 そこで、市区町村単位の名寄帳の全国版として、登記官において、特定の被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧的にリスト化し証明する制度(所有不動産記録証明制度)が新設される予定です(令和8年4月までに施行予定)。

 施行までまだ時間がありますが、相続登記漏れを防止する観点からかなり有用な制度になると期待しております。個人的にも全国版の名寄帳は熱望していた制度の一つです。

 新横浜を中心に相続登記、各種相続手続きを積極的に受任中です。お気軽にお問い合わせください!

かなり安い登録免許税で相続登記できました!

2023-05-27

 最初に今回は少し長い記事となりますがお付き合いください。相続登記のご検討中の皆様のご心配事に登録免許税の負担額があるかと思います。早速ここでおさらいですが、相続登記の登録免許税は固定資産評価額の1000分の4です。土地、建物あわせて2000万であれば8万円のご負担となります。ただ、令和3年、令和4年の税制改正により次の(1)(2)の免税措置により大幅に軽減されております。 

(1)相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
 個人が相続(相続人に対する遺贈も含みます。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされました。

免税措置のイメージ
 免税を受けることができる相続登記の申請のイメージは、以下のとおりです。
 登記名義人となっている被相続人Aから相続人Bが相続により土地の所有権を取得した場合において、その相続登記をしないまま相続人Bが亡くなったときは、相続人Bをその土地の登記名義人とするための相続登記については、登録免許税が免税となります。

                   (国税庁ホームページより抜粋)

(2)不動産の価額が100万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置
 土地について相続(相続⼈に対する遺贈も含みます。)による所有権の移転の登記又は表題部所有者の相続人が所有権の保存の登記を受ける場合において、不動産の価額(※1)が100万円以下の土地であるときは、平成30年11月15日(※2)から令和7年(2025年)3月31日までの間に受ける当該土地の相続による所有権の移転の登記又は令和3年(2021年)4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に当該土地の表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存の登記については、登録免許税を課さないこととされました。

                     (国税庁ホームページより抜粋)

 今回の記事のメインは実際私が一つの案件で(1)(2)の免税措置の両方を使い登録免許税がかなり安くなった事例をご紹介いたします(勿論実際の事例を少し脚色してますが。。。)。

 登記名義人A(土地の固定資産評価額は180万円)が令和1年1月1日に亡くなり、その息子の一人Bが令和2年2月2日に亡くなった場合において、登記名義を相続人DとCの名義と変更するため①Aから亡B、Cへの所有権移転登記②亡BからDへの亡B持分移転登記を申請しました。

 ①の登記について、亡Bについては、A→B→Dの中間相続人にあたるため上記(1)の免税措置により非課税となりました。Cについては、土地の価格が90万(=180万×持分1/2)となるため上記(2)の免税措置により非課税となりました。②の登記についても、土地の価格が90万円であるため(2)の免税措置により非課税となりました。本来であれば1万800円(7,200円+3,600円)の登録免許税がかかるところ免税措置により0円となりました(実際の案件は非課税とならない建物もあり、免許税が0円ではありませんでしたが)。(1)(2)の免税措置が同時適用される珍しい案件でした。

因みに亡B、C名義とする所有権移転登記の申請書の登録免許税は以下の記載で大丈夫でした。

「登録免許税 金0円

      亡B持分については租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税

       C持分については租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」

 新横浜のえなみ司法書士事務所では、相続登記などの相続手続きを積極的に受任しております。  お気軽にご相談ください!

マンション管理組合を申立人とする相続財産清算人申立てについて(必要書類等)

2023-05-18

 亡くなられる方には相続人が多数いる方もいれば未婚で子供がいないまま相続人がいない方もいます。

後者の場合、マンション管理組合としては、その無人の部屋を早急に売却し、新しい人に入居してもらうことをご希望されることが殆どです。そこでこの相続人不存在状態での相続財産の売却等の精算をする制度が相続財産清算人制度です。この相続財産清算人の申立権者には、被相続人の債権者、特別縁故者等の利害関係人があげられます。この利害関係人にはマンション管理組合も含まれ、マンションの部屋の所有者が亡くなり相続人が不存在のままマンション管理費用が滞納していた場合などはマンション管理組合による相続財産清算人の申立てが行われています。またたとえ管理費用がの滞納が無くても、そのマンションの一室は家財道具等が放置されたまま無人の状態が長期間放置されることはマンションの規約(修繕等の管理、風紀、安全の維持等)に反することを根拠に利害関係アリとして申立てが可能とされています。さらに、マンション管理組合は管理組合法人として登記されていない組合も多いですが、たとえ登記簿謄本がなくても代表者を選任した議事録等を規約の他に添付すれば申立は可能のようです。

現在、横浜家庭裁判所で手続中の案件です。

マンション管理組合による相続財産清算人の手続きを検討の方はご参考下さい。

隣の家の木の枝が伸びてきた。切取ってもいい?(新民法)

2023-05-04

ゴールデンウイーク真っ只中です。旅行を楽しんでいる方もいらっしゃるでしょう。混雑を避け家でまったり日頃できなかった庭掃除などをされている方もいらっしゃるでしょう。そんな方のために今年の4月施行の新民法の「越境した竹木の枝の切取り」の制度をご紹介します。

 旧民法(233条)では、土地の所有者は、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは自らその根を切り取ることができるが、枝が境界線を越えるときはその竹木の所有者に枝を切除させるよう請求できるにとどまっておりました。

 このような根と枝の取り扱いの違いは民法の七不思議の一つとされ、受験時代意味も分からず暗記をしました(本試験にも出題されました)。そればかりか竹木の所有者が枝を切除しない場合には、訴えを提起し切除を命ずる判決を得て強制執行の手続きを取る他なく、土地の所有者には過重な負担を強いる問題がありました。

 そこで、新民法は越境された土地の所有者、竹木の枝を切除させる必要があるという原則を維持しつつ、次のいずれかの場合には、枝を自ら切取ることができることとしました(223条Ⅲ項)。

①竹木の所有者に越境した枝を切除するよう催告したが竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき                                               ②竹木の所有者知ることができず、又はその所在を知ることができないとき              ③急迫の事情があるとき 

 ただ、法律の世界は自力救済が禁止され、相手に法的な請求をする場合は裁判所に訴えを提起し、判決を得て執行することが大原則です。この制度はこの自力救済禁止の原則に例外を認める制度です。なので①~③の要件を充たしているか、枝が本当に境界線を越えているか(境界線に争いがないか)を慎重に判断をする必要があると思います。                                尚、越境された土地所有者が自ら枝を切り取る場合の費用については、枝が越境して土地所有権を侵害していることや、土地所有者が枝を切り取ることにより竹木の所有者が本来負っている枝の切除義務を免れることを踏まえ、基本的には、竹木の所有者に請求できると考えられているようです(民法703条、709条)。 

 

        

新聞に公告出しました!

2023-04-26

久しぶりに記事を書きます。

早速ですが、4月22日の毎日新聞神奈川県版(p22)に当事務所の広告載せました!

相続登記、遺言書作成等相続手続き全般のご相談受付けております。

お気軽にお問い合わせください。

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