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契約満了後の借地トラブル解決法|善意占有者の退去方法
契約満了後も住み続ける借地…地主様のその善意が招く法的リスク
「契約期間はとっくに満了しているのに、長年の付き合いだからと強く言えず、そのまま住んでもらっている…」
「土地を貸していた親戚が亡くなった。建物が残ったままだが、相続人が誰なのか分からない…」
このような状況に、頭を悩ませていらっしゃる地主様は少なくありません。特に、当事務所にご相談いただくケースで多いのが、親戚に土地を貸していた、というものです。契約が満了しても、親戚関係ということもあり、建物を片付けて出ていってほしいとは言い出しにくい。そうこうしているうちに、その親戚の方が亡くなってしまい、問題がより複雑になってしまった、というご相談でした。
お世話になった方への温情や善意から占有を黙認しているそのお気持ち、痛いほどよく分かります。しかし、その「善意」が、法的には「黙示の更新」とみなされ、意図せず借地契約が継続している状態になってしまったり、相続が絡むことで解決がさらに困難になったりするリスクをはらんでいるのです。
このまま放置してしまうと、ご自身の土地であるにもかかわらず、思うように活用できなくなるばかりか、次世代にまで問題を先送りしてしまうことになりかねません。この記事では、司法書士として、このような複雑に絡み合った借地問題を法的に整理し、円満な解決へと至るための道筋を分かりやすく解説していきます。一人で抱え込まず、まずは現状を正しく把握することから始めましょう。
相続が関係する複雑な手続きの全体像については、遺産整理業務(相続手続きのサポート)で体系的に解説しています。
まず確認すべきこと:「黙示の更新」は成立していますか?
契約満了後の借地トラブルを解決する上で、最初に確認すべき最も重要なポイントは、「黙示の更新」が成立しているかどうかです。これは、地主様と借地人(またはその相続人)との間に、今も法的な契約関係が続いているのか、それとも完全に終了しているのかを判断する上で、決定的な違いを生むからです。
借地借家法では、借地権の存続期間が満了する場合に、借地権者が契約の更新を請求したときや、満了後も土地の使用を継続するときは、土地上に建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます(いわゆる法定更新)。ただし、借地権設定者(地主)が遅滞なく異議を述べたときは、この限りではありません。言葉は難しく聞こえますが、要は「暗黙の了解で契約が続いている」と法的に判断される状態を指します。

地代を受け取り続けている場合のリスク
「黙示の更新」が成立してしまう最も典型的なケースが、契約期間が満了した後も、地主様が地代を受け取り続けている場合です。地主様としては「住み続けているのだから、せめて地代くらいは」というお気持ちかもしれません。しかし、法的には、地代を受け取るという行為は「契約の継続を承認した」と解釈される可能性が非常に高いのです。
特に、何の異議も唱えずに地代を受け取ってしまうと、後になって「契約は満了していたはずだ」と主張しても、その言い分が認められにくくなります。この状態は、地主様にとって、将来的に土地の明け渡しを求める際に「正当事由」が必要になったり、高額な立ち退き料の支払いが必要になったりする、極めて不利な状況と言えるでしょう。
地代は受け取っていないが、退去を求めていない場合
では、地代は受け取っていないものの、特に退去を求めず、占有を黙認している場合はどうでしょうか。この場合、直ちに「黙示の更新」が成立するとまでは言えないかもしれません。しかし、この状態を長期間放置することは、決して得策ではありません。
なぜなら、長期間にわたって平穏に占有が続いたという事実が、相手方の権利を保護する方向で考慮されたり、いざ明け渡しを求める際に、解決金(事実上の立ち退き料)を支払わなければ交渉がまとまらなくなったりする可能性があるからです。問題を先送りにすることは、静かにリスクを育てているのと同じことなのです。
【状況別】契約満了後の借地人を退去させるための正しい手順
ご自身の状況が「黙示の更新」に当たる可能性があるか、それとも契約は完全に終了していると言えるか、おおよその見当がついたでしょうか。ここからは、具体的な状況に合わせて、問題を解決するための正しい手順を解説していきます。
ケース1:相続人が判明している場合の手順
亡くなった借地人の相続人が誰か分かっている場合は、まずその相続人との話し合いから始めることになります。感情的にならず、法的な権利と義務に基づいて冷静に交渉を進めることが重要です。
- 意思の明確な伝達
まずは内容証明郵便などを利用して、(更新が成立していない場合には)借地契約が期間満了により終了していること、または(更新が成立している場合には)契約関係を整理したいこと、そして地主としては土地上に残っている建物を収去して土地を明け渡してほしい、という意思を明確に伝えます。これにより、後のトラブルを防ぐための証拠にもなります。 - 建物収去義務と建物買取請求権の確認
交渉の最大のポイントは、残された建物をどうするかです。原則として、契約が終了した場合、借地人(その地位を継いだ相続人)は建物を収去して土地を更地に戻す義務(建物収去土地明渡義務)を負います。しかし、契約の状況によっては、借地人側から「この建物を時価で買い取ってください」と請求できる権利(建物買取請求権)が認められる場合もあります。どちらの権利が優先されるかは専門的な判断が必要ですが、これらの法的知識を前提に交渉を進めることが不可欠です。 - 交渉から法的手続きへ
話し合いで円満に解決できれば一番ですが、どうしても合意に至らない場合は、裁判所に「建物収去土地明渡請求訴訟」を提起することになります。なお、相続人が複数いるにもかかわらず、中には連絡が取れない相続人がいて交渉が進まないケースもあります。
ケース2:相続人不明・相続放棄された場合の手順
借地人が亡くなり、戸籍を調べても相続人が見つからない、あるいは全ての相続人が相続放棄をしてしまった、というケースは最も対応が困難です。なぜなら、交渉する相手が誰もいないからです。この場合、個人間の話し合いでの解決は不可能であり、家庭裁判所を通じた法的な手続きが必須となります。

その手続きとは、「相続財産清算人(※2023年4月1日施行の改正民法により、従来『相続財産管理人』と呼ばれていた清算手続の担い手の名称が変更されました)」の選任を家庭裁判所に申し立てることです。
相続財産管理人とは、亡くなった方の財産(借地上の建物など)を管理・清算するために、裁判所によって選ばれる専門家(主に弁護士など)です。地主様がこの申立てを行うことで、ようやく建物の収去や土地の明け渡しについて法的に交渉・手続きを進めるための「相手方」が作られるのです。
ただし、この手続きには注意点があります。この手続では、相続財産の内容等から相続財産清算人が円滑に事務を行うための費用(報酬を含む。)に不足が出る可能性がある場合、申立人が裁判所から予納金の納付を求められることがあります。もちろん、亡くなった方に十分な財産が残っていれば、そこから費用は支払われますが、財産がなければ予納金は戻ってこない可能性もあります。
非常に専門的で複雑な手続きとなるため、この状況に当てはまる場合は、速やかに専門家へ相談することをお勧めします。
より具体的な手順については、財産管理制度をご覧ください。
参照:相続財産清算人の選任
立ち退き料は必要?相場と判断基準を司法書士が解説
地主様が最も気になる点の一つが「立ち退き料」ではないでしょうか。果たして支払う必要があるのか、あるとすれば相場はいくらなのか、解説します。
まず大原則として、借地契約が期間満了によって明確に終了している場合、地主様に立ち退き料の支払い義務は法的にはありません。明け渡しは、契約終了に伴う当然の義務だからです。
一方で、先ほど解説した「黙示の更新」が成立していると判断される場合は、話が大きく異なります。この状態は法的に契約が続いているのと同じですから、地主様から契約の更新を拒絶するためには「正当事由」が必要になります。そして、地主様側の土地利用の必要性といった事情だけでは正当事由が十分でない場合に、その不足分を補う目的で、立ち退き料の提供が考慮されるのです。
立ち退き料に法律で定められた明確な相場はありませんが、一般的には借地権価格の数割程度や、建物の移転にかかる実費などを基準に、個別の事情を考慮して交渉で決められることが多いです。原則不要なケースと、正当事由を補うために必要となるケースがあることを、しっかりと理解しておくことが重要です。
残された建物の解体(建物収去)は誰の義務と費用か?
土地の上には、まだ借地人が建てた建物が残っています。この建物の解体、すなわち「建物収去」の義務と費用は、一体誰が負うのでしょうか。
この問題も、法的な原則は明確です。建物を収去する義務を負うのは、借地人(またはその相続人)であり、その費用も借地人側が負担するのが原則です。
しかし、これも現実には様々なケースがあります。
- 相続人がいる場合:相続人が義務と費用を負担します。ただし、交渉を円滑に進めるため、地主様が解体費用の一部を負担する(立ち退き料に含めるなど)ことで、早期解決を図るケースも少なくありません。
- 相続人が不明・相続放棄した場合:選任された相続財産管理人が、亡くなった方の財産の中から解体費用を捻出します。しかし、財産が全くない場合は、前述の通り、地主様が裁判所に納めた予納金から費用が支払われることになり、事実上、地主様の負担となってしまう可能性があります。
また、前述の「建物買取請求権」が借地人側にある場合は、地主様が建物を時価で買い取ることになり、収去義務も費用負担も地主様側に移ることになります。状況によって結論が大きく変わるため、慎重な判断が求められます。なお、亡くなった方の建物を解体する際の手続きについても、複雑な点が多いため注意が必要です。
複雑な借地問題は、一人で悩まず専門家にご相談ください
ここまでお読みいただき、契約満了後の借地問題が、いかに複雑で専門的な知識を要するかお分かりいただけたかと思います。特に、
- 地代を受け取り続けており「黙示の更新」の可能性が高いケース
- 借地人が亡くなり、相続人が不明または相続放棄されているケース
このような状況では、ご自身だけで対応しようとすると、かえって問題をこじらせてしまったり、法的に不利な立場に陥ってしまったりする危険性があります。
私たち司法書士のような専門家にご相談いただければ、まずは現在の状況を法的に正確に分析し、考えられるリスクと解決への道筋を丁寧にご説明します。その上で、必要であれば相続財産管理人選任の申立てといった裁判所の手続きまで、一貫してサポートすることが可能です。
長年心の中にあった重荷を、一人で抱え続ける必要はありません。円満な解決に向けて、私たちが全力でサポートいたします。まずはお気軽にお気持ちをお聞かせください。

神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
相続手続きや商業登記を通じて、「いつでも相談できて、いつでも来てもらえる」存在でありたいという思いから、無料の訪問面談を実施しております。また、平日はお仕事のため面談の時間が取れないお客様のご要望にお応えするため、平日・土日祝日、21時まで対応可能です。
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叔父・叔母の相続放棄|甥・姪の起算点はいつから?専門家が解説
突然の連絡… 叔父・叔母の相続、まず落ち着いて状況を確認しましょう
ある日突然、役所や見知らぬ会社から手紙が届き、「亡くなった叔父(叔母)の相続人になりました」と告げられたら、誰でも驚き、混乱してしまうことでしょう。特に、長年疎遠だった場合には「なぜ自分が?」「これからどうなってしまうのか…」と、大きな不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
相続を承認するのか、それとも放棄するのか。この判断には「3ヶ月」という期限がありますが、だからといって焦る必要はありません。大切なのは、慌てて行動する前に、ご自身の状況を正しく理解することです。
この記事では、あなたと同じように、突然叔父・叔母の相続人となった甥・姪の方に向けて、相続放棄の期限が「いつから」始まるのか、そして「いつまでに」「何をすべきか」を、司法書士が一つひとつ丁寧に解説していきます。読み終える頃には、きっとご自身の状況が整理され、次の一歩を落ち着いて踏み出せるはずです。
なぜ私が相続人に?甥・姪が相続する仕組み
「叔父(叔母)には子どもがいたはずなのに…」「兄弟姉妹は他にもいるのに、なぜ私に連絡が?」多くの方が、まずこの疑問に突き当たるはずです。あなたが相続人になったのには、法律で定められた相続のルールが関係しています。少し複雑に感じるかもしれませんが、ご自身の立場を理解するために、ここで基本を押さえておきましょう。

相続には優先順位がある(法定相続人)
法律では、誰が遺産を相続するのか、その優先順位が決められています。これを「法定相続人」といいます。
- 第1順位:亡くなった方の子ども(や孫)
- 第2順位:亡くなった方の親(や祖父母)
- 第3順位:亡くなった方の兄弟姉妹
相続は、この順位の高い人から権利を得ます。つまり、第1順位の人が一人でもいれば、第2順位や第3順位の人に相続権は移りません。今回の場合、叔父様・叔母様に第1順位の子どもや第2順位の親がおらず、初めて第3順位である兄弟姉妹(あなたのお父様やお母様など)に相続権が回ってきた、という状況が考えられます。
親が亡くなっているとなぜ?「代襲相続」とは
「なるほど、相続権は第3順位の兄弟姉妹にあるのか。でも、私の親はもう亡くなっているのに…」
ここでもう一つ、重要な「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」という仕組みが登場します。
これは、本来相続人となるはずだった人(この場合は、あなたのお父様やお母様)が、相続が始まる前に亡くなっていた場合に、その子どもが代わりに相続権を引き継ぐという制度です。つまり、あなたのお父様(お母様)が受け取るはずだった相続人としての立場を、あなたがそのまま引き継ぐ形になった、ということです。これが、甥・姪であるあなたが相続人になった理由です。
あなたの相続放棄の期限はいつから?起算点の3パターン
さて、ここからが本題です。相続放棄の手続きは、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に行わなければなりません。この3ヶ月の期間を「熟慮期間」といい、この期間のスタート地点を「起算点」と呼びます。
重要なのは、この「知った時」というのが、単に「叔父・叔母が亡くなった日」ではないということです。具体的には、以下の2つの事実を両方とも知った時点が、あなたの起算点となります。
- 叔父(叔母)が亡くなったという事実
- その結果、自分が相続人になったという事実
甥・姪の方が相続人になるケースは、この起算点がいつになるのか分かりにくいことが非常に多いです。ご自身の状況がどれに当てはまるか、確認してみましょう。
原則:「自分が相続人だと知った時」から3ヶ月
法律(民法915条1項)で定められている、熟慮期間の起算点の基本は、前述のとおり「自分が相続人になったことを知った時」です。疎遠であった叔父・叔母の相続では、亡くなった事実さえしばらく知らないケースも少なくありません。そのため、死亡日から3ヶ月が過ぎていても、慌てる必要はないのです。
ケース1:役所や債権者からの通知で初めて知った場合
甥・姪の方にとって、最も多いのがこのパターンではないでしょうか。ある日突然、金融機関や役所、債権回収会社などから督促状や照会書が届き、そこで初めて叔父・叔母が亡くなったこと、そして借金を残しており自分が相続人になっていることを知るケースです。
この場合、起算点は「その通知などにより、叔父・叔母の死亡と、自分が相続人であることを知った時」となるのが一般的です。3ヶ月のカウントは、その日からスタートします。届いた通知書は、起算日の重要な証拠となりますので、絶対に捨てずに保管しておきましょう。

ケース2:他の親族(いとこ等)からの連絡で知った場合
叔父・叔母の子ども(いとこ)など、他の親族から「父(母)が亡くなり、私(たち)は相続放棄をしました。そのため、あなたが相続人になります」といった連絡を受けるケースもあります。
この場合、起算点は「その連絡などにより、叔父・叔母の死亡と、自分が相続人であることを知った時」となるのが一般的です。具体的には、そのいとこから相続放棄をした旨の通知のあった日が起算点となります。したがって、電話などの口頭での連絡だった場合は、後々のトラブルを防ぐためにも、いつ、誰から、どのような内容の連絡があったのかを、必ずメモに残しておくようにしましょう。そして、自分が相続放棄をする際の裁判所に提出する書類にもなる為、いとこが裁判所から受け取った「相続放棄申述受理通知書の写し」も貰っておきましょう。
ケース3:先順位の相続人がいると思っていた場合
叔父・叔母に子ども(いとこ)がいることは知っていたので、当然自分は相続人ではないと思っていた。しかし、後になって、その子どもたちが全員相続放棄を済ませていたことを知った、という複雑なケースもあります。
この場合の起算点は、「先順位の相続人が相続しない結果として、自分が相続人となったことを知った時」となるのが一般的です。先順位の相続人がいることを知っているだけでは、まだ熟慮期間は始まりません。その人たちが誰も相続しなかった結果、自分に順番が回ってきたと知った日がスタートになるのです。
期限内に相続放棄を判断するための2つのステップ
ご自身の起算点がいつになるか、おおよそ見当がついたでしょうか。次に、3ヶ月という限られた時間の中で、的確に判断・行動するために必要な2つのステップをご紹介します。特に疎遠だった親族の場合、これらは同時並行で、できるだけ早く始めることが重要です
ステップ1:財産調査|プラスとマイナスの財産を把握する
相続放棄をするかどうか決めるには、まず叔父・叔母がどのような財産を残したのかを把握する必要があります。財産には、預貯金や不動産といった「プラスの財産」だけでなく、借金やローンといった「マイナスの財産」も含まれます。
特に重要なのが、マイナスの財産の調査です。心当たりのある金融機関がないか、故人の自宅に契約書や督促状などが残されていないか確認しましょう。また、信用情報機関に情報開示請求を行うことで、故人の借入状況を調べることができます。詳しい故人の借金調査の方法については、別の記事で詳しく解説しています。
ステップ2:必要書類の収集|戸籍集めは時間がかかる
相続放棄は、家庭裁判所に「相続放棄の申述」という手続きを行う必要があり、そのためには多くの書類を集めなければなりません。特に大変なのが、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の収集です。
甥・姪が相続放棄をする場合、単にご自身の戸籍謄本だけでは足りません。なぜ自分が相続人になったのかを証明するために、
- 亡くなった叔父・叔母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 本来の相続人(あなたのお父様・お母様)の死亡が記載された戸籍謄本
- 先順位である第1順位・第2順位の相続人がいないことを証明するための戸籍謄本
など、膨大な量の戸籍が必要になるケースがほとんどです。本籍地が各地に点在していることも多く、郵送での取り寄せには数週間かかることも珍しくありません。財産調査と並行して、できるだけ早く戸籍の収集に着手することをお勧めします。
もし期限に間に合わない・過ぎてしまったら?
「財産調査が終わらない」「戸籍がなかなか集まらない」…3ヶ月という期間は、意外とあっという間に過ぎてしまいます。もし期限に間に合いそうにない場合や、すでに過ぎてしまった場合でも、まだ打つ手は残されています。
まだ間に合う!「熟慮期間の伸長(延長)」という選択肢
どうしても3ヶ月以内に相続放棄の判断ができない正当な理由がある場合には、家庭裁判所に「熟慮期間伸長の申立て」を行うことで、期間を延長してもらえる可能性があります。
例えば、以下のような理由が考えられます。
- 相続財産の種類が多く、評価や調査に時間がかかっている
- 相続人が多数おり、連絡や調整に時間がかかっている
- 海外に住んでいるため、書類の取り寄せに時間がかかる
ただし、この申立ては3ヶ月の熟慮期間が過ぎる前に行う必要があります。「間に合わないかも」と感じたら、すぐにこの手続きを検討しましょう。
期限切れでも諦めないで!3ヶ月経過後の相続放棄
原則として、熟慮期間(3ヶ月)を経過すると相続を承認した(単純承認)とみなされ、相続放棄は認められにくくなります。しかし、例外的に期限後でも相続放棄が認められるケースがあります。
それは、「相続財産が全くないと信じるに相当な理由があった」と裁判所に認めてもらえた場合です。例えば、「長年音信不通で、叔父に借金があるとは夢にも思わなかったのに、死亡から1年後に突然、債権者から多額の請求書が届いた」といったケースが考えられます。ただし、これが認められるハードルは非常に高く、専門的な主張が必要不可欠です。もし期限後の相続放棄を検討されているのであれば、すぐに専門家へ相談することをお勧めします。
甥・姪の相続放棄でよくある質問
ここでは、甥・姪という立場の方から特によくいただくご質問にお答えします。
Q. 叔父・叔母に子供(いとこ)がいる場合でも相続放棄は必要?
A. 必要になる可能性があります。
叔父様・叔母様にお子さん(あなたから見たいとこ)がいる場合、その方が第1順位の相続人です。しかし、そのいとこが相続放棄をした場合、相続権は次の順位に移ります。もし第2順位の相続人(祖父母など)もいなければ、第3順位である兄弟姉妹、そして代襲相続により甥・姪であるあなたに相続権が回ってくることになります。
叔父様・叔母様にお子さんがいるからといって、必ずしも安心はできません。いとこから「相続放棄をした」という連絡が来たときは、それがあなたの熟慮期間のスタートになる可能性があることを覚えておいてください。
Q. 相続放棄したら、自分の子供に借金は引き継がれる?
A. いいえ、引き継がれません。
ご自身が相続放棄をすると、法律上「初めから相続人ではなかった」とみなされます。そのため、あなたのお子さん(叔父・叔母から見れば大甥・大姪)に相続権がさらに移る(再代襲する)ことはありません。ご自身の代で借金の連鎖を断ち切ることができますので、ご安心ください。
Q. 相続放棄の手続き費用はどのくらいかかりますか?
A. ご自身で行う場合、実費として数千円程度かかります。
家庭裁判所に納める収入印紙(申述人1人につき800円)や、連絡用の郵便切手(裁判所により必要額が異なります)、そして戸籍謄本などの取得費用が必要です。戸籍の取得費用は、集める通数によって変動しますが、数千円から1万円程度になることもあります。
司法書士に依頼する場合は、これに加えて報酬が必要となります。当事務所の相続放棄のサポートでは、複雑な戸籍収集の支援から申述書類の作成・提出手続のサポートまで、一括して対応可能です。費用や手続きの詳細は、お気軽にお問い合わせください。
手続きが複雑で不安なときは、専門家への相談も検討しましょう
ここまで、叔父・叔母の相続人となった甥・姪の方の相続放棄について解説してきました。ご自身の状況と、これから何をすべきかが見えてきたでしょうか。
甥・姪の方が相続人となるケースは、
- 疎遠で財産状況が全く分からない
- 集めるべき戸籍謄本が非常に多く、複雑になる
- 起算点の判断が難しい
など、ご自身で手続きを進めるにはハードルが高い場合が少なくありません。特に、熟慮期間の期限が迫っている場合や、債権者から督促を受けているような状況では、精神的なご負担も大きいことでしょう。
もし少しでも手続きに不安を感じたり、ご自身で進めるのが難しいと感じたりしたときには、私たち司法書士のような専門家を頼ることも一つの大切な選択肢です。相続に関するお悩みは、一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。
相続放棄に関するご相談や手続きのご依頼は、下記よりお気軽にお問い合わせいただけます。

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不動産登記の国籍記入義務化|影響と必要書類を司法書士が解説
【2026年施行方針】不動産登記の国籍記入、何が変わる?
「不動産を登記するときに、国籍も書かなければいけなくなるらしい」
最近、このようなニュースを目にして、ご自身の不動産取引や相続手続きにどのような影響があるのか、不安に感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、2026年度(令和8年度)中の施行を目指し、不動産の所有権に関する登記を申請する際に、国籍などの情報を法務局に届け出ることを義務化する方針が示されました。これは、特に日本にお住まいの外国人の方や、海外に住んでいる方が日本の不動産を取得・相続する際に、手続きが少し変わることを意味します。
この記事では、この新しい制度について、何が、いつから、どのように変わるのか、そして立場ごとにどのような準備が必要になるのかを、司法書士が分かりやすく解説していきます。
なぜ今?国籍記入が義務化される3つの背景
そもそも、なぜ今になって国籍の記入が義務化されるのでしょうか。これには、主に3つの社会的な背景があります。
- 不動産市場の透明化:誰がどの不動産を所有しているのかをより明確にすることで、取引の安全性を高める狙いがあります。
- 経済安全保障の観点:国の安全に関わるような土地が、どの国の個人や法人によって所有されているのかを国が把握する必要性が高まっています。
- 空き家問題への対策:所有者が海外にいて連絡が取れないといったケースに対応しやすくするため、国籍や国内の連絡先を把握する目的もあります。
私たち司法書士の実務においても、所有者様が海外にお住まいの場合にご連絡が難しく、手続きに時間を要することがありました。今回の法改正は、こうした課題に対応し、より円滑で安全な不動産取引を実現するための重要な一歩と言えるでしょう。
いつから始まる?対象者と手続きの概要
新しい制度のポイントを整理してみましょう。
- 開始時期:2026年度(令和8年度)中の施行を目指す方針です。具体的な施行日は、今後の政省令で定められる予定です。
- 対象者:報道等によれば、不動産の所有権に関する登記(売買、相続、贈与など)を申請する個人の方が主な対象となる方向で調整が進められています。法人の場合の具体的な取り扱いについては、今後の公表資料で詳細が示される見込みです。
- 手続きの概要:登記を申請する際、国籍などの情報の提出が求められる方向で検討されています。具体的な提出方法や、それを証明する書類(パスポートの写しなど)の要否については、今後の法務省令などで詳細が定められる見込みです。
次の章では、この変更が「ご自身の立場」で具体的にどのような影響をもたらすのかを、詳しく見ていきましょう。
海外在住の日本人・外国人の方:国内連絡先の届出も
海外にお住まいの方が、日本の不動産を相続したり購入したりする際にも、国籍の証明が必要となります。
海外在住の場合、国籍証明は現地の日本大使館や領事館で取得する「在留証明書」や、パスポートの写しなどが考えられます。また、遺産分割協議書などの書類には、ご本人の署名であることを証明する「署名証明書(サイン証明)」も必要です。これらの書類は取得に時間がかかる場合もあるため、余裕を持ったスケジュールで準備を始めることが重要です。
また、海外在住の方については、今後導入が検討されている国籍等の届出とは別に、もう一つ重要な制度があります。それは、2024年4月1日から既に始まっている「国内連絡先に関する事項の申出制度」です。(参考:法務省 令和6年4月1日以降にする所有権に関する登記の申請について)これは、海外にお住まいの所有者様に代わって、日本国内で連絡を受け取る方(ご親族や司法書士など)を登記できる制度です。国籍の届出と併せて、国内連絡先も定めておくと、その後の手続きがスムーズに進むでしょう。海外にお住まいで日本の不動産を相続されるケースについては、海外在住の相続人がいる相続登記の手続きでも詳しく解説しています。
日本人・日本法人の方:取引相手の確認が重要に
「自分は日本人だから関係ない」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。不動産の売買などで、お相手が外国人や海外在住の方である場合、この新しい制度は取引全体に影響します。
例えば、買主様が外国人の方であれば、その方が国籍を証明する書類をきちんと準備できなければ、所有権移転登記が申請できません。登記ができなければ、売買代金の決済も完了できず、最悪の場合、契約が白紙に戻ってしまう可能性もゼロではありません。
そのため、今後は不動産の個人間売買などを行う際、契約の段階から、お互いの必要書類について確認し合うことがより一層重要になります。取引をスムーズに進めるためにも、法改正の内容を理解しておくことが大切です。

こんな時どうする?国籍記入義務化のQ&A
中には、特別なご事情を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、想定される具体的なお悩みについて、Q&A形式でお答えします。
Q. 国籍を証明する書類がない・国籍不明の場合は?
これは非常に難しい問題です。何らかの事情でパスポートや在留カードなどの公的な証明書をお持ちでない場合、国籍の届出が困難になる可能性があります。
このようなケースでは、画一的な対応は難しく、個別の事情に応じて法務局と事前に協議を重ねる必要があります。例えば、出生証明書や過去の記録など、国籍を推認できる他の書類で代替できないか、といった交渉が考えられます。しかし、最終的に証明が難しいと判断されるリスクも伴います。
手続きが非常に複雑になることが予想されるため、このような状況に当てはまる可能性が少しでもある方は、必ず早い段階で司法書士にご相談ください。私たち専門家が、法務局との協議を含め、最善の方法を一緒に考えさせていただきます。
Q. 重国籍の場合、どの国籍を記入すればよい?
日本国籍と外国籍の両方をお持ちの場合(重国籍)の具体的な取り扱いについては、今後の法務省令などで詳細が定められる見込みです。一般的に、日本の法律が適用される手続きでは日本国民として扱われることが多いですが、この登記制度でどの国籍を届け出るべきかは、正式な発表を確認する必要があります。
ただし、外国籍のみを複数お持ちの場合は、どの国籍を届け出るか、あるいは全ての国籍を届け出る必要があるかなど、具体的な取り扱いは今後の通達で詳細が定められる見込みです。ご自身の状況に合わせて、適切な対応が必要となりますので、ご不明な点があれば専門家にご確認ください。
Q. 相続登記で、亡くなった親の国籍が不明な場合は?
相続登記は、亡くなった方(被相続人)から相続人へ名義を変更する手続きです。今回の法改正は、新たに所有者となる「相続人」の国籍を届け出るものですので、基本的には亡くなった方の国籍証明は不要です。
しかし、相続手続きを進める過程で、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本などを収集します。その中で、国籍に関する情報が必要となる場面も考えられます。特に、被相続人が外国籍であった場合や、相続人の中に連絡が取れない相続人や海外在住の相続人がいる場合、手続きは複雑になりがちです。戸籍の収集や遺産分割協議など、相続登記には専門的な知識が不可欠ですので、お困りの際は司法書士にご相談ください。
手続きに不安な方は司法書士への相談が安心です
ここまでご説明したように、2026年度からの不動産登記の国籍記入義務化は、多くの方に関わる重要な変更です。特に外国人の方や海外在住の方が関わる手続きは、これまで以上に慎重な準備が必要となります。
「自分の場合はどの書類が必要なんだろう?」「手続きが複雑で、一人で進めるのは不安…」
もし少しでもご不安を感じたら、私たち司法書士にご相談いただくのが最も安心な方法です。
司法書士に依頼する3つのメリット
登記の専門家である司法書士にご依頼いただくことで、お客様には主に3つのメリットがあります。
- 複雑な書類準備をお任せできる:国籍を証明する書類の収集や、その他の必要書類の作成まで、専門家が正確かつ迅速にサポートします。お客様ご自身で役所を回る手間や時間を大幅に削減できます。
- 法務局との円滑な連携:専門的な内容について、私たちがお客様に代わって法務局と協議・調整を行います。イレギュラーなケースでも、最適な解決策をご提案します。
- 関連手続きも一括でサポート:不動産登記だけでなく、その前提となる遺産分割協議書の作成や、売買契約に関するアドバイスなど、関連する手続きもワンストップでご相談いただけます。
当事務所では、お客様のご負担を少しでも軽くするため、ご自宅などへの「無料訪問面談」や、お仕事帰りにもご相談いただきやすい「土日祝21時までの対応」を徹底しております。

当事務所のサポート内容とご相談の流れ
えなみ司法書士事務所では、今回の法改正にも万全の体制で対応し、お客様の不動産登記手続きをサポートいたします。
【ご相談からの流れ】
- 無料相談のご予約:お電話またはお問い合わせフォームから、ご希望の日時をお知らせください。
- 無料訪問面談:司法書士がご自宅やご指定の場所へお伺いし、詳しい状況をお聞きします。
- お見積りのご提示:手続きに必要な費用総額を明確にご提示します。ご提示した司法書士報酬について、後から追加料金をいただくことは原則としてありません。
- ご依頼・手続き開始:ご納得いただけましたら、正式にご依頼ください。書類の収集・作成から法務局への申請まで、責任を持って進めます。
- 手続き完了・書類のお渡し:登記が完了しましたら、登記識別情報通知(権利証)など一式の書類をお届けします。
【お客様へご協力のお願い】
法改正に伴い、不動産登記手続きにおいて、お客様の国籍を確認するための公的な証明書のご提示をお願いすることがございます。特に海外の書類が必要となる場合、取得にお時間がかかることも予想されます。円滑な手続きのため、お早めにご相談いただき、必要書類のご準備にご協力いただけますようお願い申し上げます。
不動産登記の国籍記入義務化に関して、ご不明な点やご不安なことがございましたら、どうぞお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。お客様の状況に合わせた最適なサポートをご提供いたします。

神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
相続手続きや商業登記を通じて、「いつでも相談できて、いつでも来てもらえる」存在でありたいという思いから、無料の訪問面談を実施しております。また、平日はお仕事のため面談の時間が取れないお客様のご要望にお応えするため、平日・土日祝日、21時まで対応可能です。
安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧にお手伝いします。どうぞお気軽にご連絡ください。
連絡が取れない相続人との遺産分割|司法書士が解決策を解説
「連絡が取れない相続人」にお困りではありませんか?
「亡くなった親の遺産について、他の相続人と話し合いたいのに、一人だけどうしても連絡が取れない…」「昔から疎遠だった兄弟に手紙を送っても、返事すらもらえず無視されている」「相続人の一人がどこで何をしているのか、全くわからない」
大切なご家族を亡くされた悲しみの中、遺産分割という大きな手続きを進めなければならないだけでも大変な負担です。それに加えて、一部の相続人と連絡が取れない、あるいは協力を拒否されるといった事態に直面すると、途方に暮れ、お一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
しかし、ご安心ください。このような状況は、決して珍しいことではありません。そして、法律には、このような困難な状況を乗り越えるための正式な手続きがきちんと用意されています。
この記事では、相続手続きを専門とする司法書士が、連絡が取れない相続人がいる場合の遺産分割について、状況別の具体的な解決策を分かりやすく解説します。読み終える頃には、ご自身の状況で次に何をすべきかが明確になり、問題解決への第一歩を踏み出せるはずです。
大原則:相続人全員の参加なくして遺産分割協議はできない
まず、相続手続きにおける最も重要な大原則からお伝えします。それは、遺産分割協議は、必ず相続人全員の参加のもとで行わなければならないということです。
「面倒だから」「どうせ反対するだろうから」といった理由で、連絡が取れない相続人を除外して協議を進め、遺産分割協議書を作成しても、その協議は法的に無効となります。無効な協議書では、以下のような手続きが一切進められません。
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 預貯金の解約・払い戻し
- 株式などの有価証券の名義変更
- (注意)相続税の申告は遺産分割が未了でも期限までに必要です(未分割として法定相続分等で申告し、分割後に更正の請求等で調整することがあります)。
つまり、連絡が取れない相続人を無視して手続きを進めようとすることは、時間と労力を無駄にするだけでなく、さらなるトラブルの原因になりかねません。遠回りに思えても、まずは法的なルールに則って、一人ひとりの相続人と向き合うことが、解決への最も確実な道筋となります。
あなたの状況はどれ?3つのケース別・解決へのロードマップ
「相続人全員の参加が必要なのは分かったけれど、具体的にどうすれば…?」という疑問にお答えするため、ここからは状況を3つの典型的なケースに分けて、それぞれの解決策を解説します。ご自身の状況がどれに当てはまるかを確認し、読み進めてみてください。

ケース1:疎遠で「連絡先がわからない」
過去に交流があったものの、現在は住所や電話番号がわからなくなってしまった、というケースです。この場合、まずはその相続人の現在の住民票上の住所を特定することから始めます。
もちろん、他の親族に心当たりを尋ねてみるのも一つの方法ですが、一般的には、戸籍や戸籍の附票等を確認して住所情報をたどる方法が有力です(状況により特定できない場合もあります)。
具体的には、まず亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取得し、相続人を確定させます。その後、連絡を取りたい相続人の戸籍謄本を取得し、さらにその戸籍に紐づく「戸籍の附票(ふひょう)」という書類を取得します。戸籍の附票には住所の履歴が記載されているため、手掛かりとして現住所の確認につながることがあります(状況により特定できない場合もあります)。
これらの戸籍収集はご自身でも可能ですが、複数の役所を跨ぐことも多く、非常に手間と時間がかかります。司法書士が受任し、正当な業務目的・必要性が認められる範囲で、職務上請求により戸籍等の収集を行い、住所情報の調査を進めることが可能です(取得可否・特定可否は事情により異なります)。
ケース2:連絡は取れるが「無視・拒否される」
住所はわかっており、手紙を送るなど連絡はできるものの、返信がない、あるいは明確に遺産分割協議への参加を拒否されている、というケースです。これは、当事者間の感情的な対立も絡むことが多く、精神的なご負担が最も大きい状況かもしれません。
このような場合、感情的に何度も連絡を取ろうとすると、かえって相手の態度を硬化させてしまう可能性があります。そこで有効となるのが、家庭裁判所を利用した「遺産分割調停」という手続きです。
遺産分割調停とは、裁判官と民間の有識者からなる調停委員が間に入り、相続人全員から公平に話を聞きながら、話し合いによる円満な解決を目指す手続きです。当事者同士では冷静な対話が難しくても、中立的な第三者が関わることで、お互いが譲歩し、合意に至るケースは少なくありません。詳しくは遺産分割調停 | 裁判所のウェブサイトもご参照ください。
もし調停でも話がまとまらない場合は、自動的に「遺産分割審判」という手続きに移行し、裁判官が一切の事情を考慮して、遺産の分け方を法的に決定します。これにより、相手の協力が得られなくても、遺産分割を最終的に確定させることが可能です。
ケース3:生死も不明で「完全に行方不明」
住所調査をしても見つからず、長年にわたって音信不通で、生きているかどうかさえ定かではない、というケースです。この場合は、行方不明の相続人に代わって遺産分割協議に参加する代理人を選任する必要があります。
そのための手続きが、家庭裁判所への「不在者財産管理人」の選任申立てです。不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理し、家庭裁判所の許可を得て、その人に代わって遺産分割協議などの法律行為を行う権限を持つ人のことです。詳しくは不在者財産管理人選任 | 裁判所のウェブサイトもご参照ください。
この不在者財産管理人が選任されれば、その人が行方不明の相続人の代理人として遺産分割協議に参加するため、手続きを進めることができます。不在者財産管理人は不在者の利益を害しないように財産を管理・保存し、家庭裁判所の許可を得て遺産分割等に関与します。分割方法や管理の扱いは、事情と裁判所の判断により異なります。
なお、行方不明になってから7年以上が経過している場合は、「失踪宣告」の申立てという選択肢もあります。失踪宣告が認められると、その人は法律上死亡したとみなされ、遺産分割協議に参加する必要がなくなります。どちらの手続きが適切かは、状況によって異なりますので、専門家への相談をおすすめします。
司法書士があなたの「次の一歩」を具体的にサポートします

ここまで読んで、「手続きが複雑で自分だけでは難しそう…」と感じられたかもしれません。まさに、このような複雑な相続問題こそ、私たち司法書士が専門家としてお力になれる場面です。
えなみ司法書士事務所では、横浜市・川崎市を中心に、相続でお困りの方々へ「ご安心」をお届けすることを第一に考えております。初回のご相談は無料ですので、まずはお気軽にお話をお聞かせください。
相続人調査から裁判所への書類作成まで一括サポート
連絡が取れない相続人がいる場合の手続きは、多岐にわたります。当事務所にご依頼いただければ、以下のような煩雑な手続きをまとめて代行し、皆様のご負担を大幅に軽減いたします。
- 戸籍謄本等の収集による相続人調査・確定
- 正確な相続関係説明図の作成
- 他の相続人への連絡文書の作成・発送、手続案内の窓口(紛争性のある交渉・代理は事案により弁護士対応となります)
- 遺産分割調停の申立書作成
- 不在者財産管理人選任の申立書作成
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産の相続登記(名義変更)
これらの手続きには、専門的な知識と正確性が求められます。一つ一つのステップを、専門家である司法書士が責任を持ってサポートいたします。
相手の感情に配慮した円満な解決を目指すアプローチ
当事務所が大切にしているのは、単なる手続きの代行ではありません。可能な限り、円満な解決を目指すためのアプローチです。
特に、連絡を無視・拒否している相続人に対しては、いきなり法的な手続きを進めるのではなく、まずは司法書士という第三者の専門家から、丁寧な手紙をお送りすることを検討することがあります。
ご親族からの連絡には感情的に反応してしまう方でも、司法書士からの連絡により、事情によっては相手方が状況を整理し、話合いに応じるきっかけになる場合があります。実際に、私が司法書士としてお手紙を作成し、送付したことで、それまで全く返事がなかった方から連絡があり、無事に協議がまとまったという経験は少なくありません。
高圧的な態度ではなく、相手の感情にも配慮しながら、粘り強く対話の糸口を探っていく。それもまた、私たち専門家の重要な役割だと考えています。
もし、どのように連絡を取ればよいか、何から手をつければよいか分からずお困りでしたら、ぜひ一度当事務所にご相談ください。平日はもちろん、土日祝日も21時まで対応しており、ご自宅などへの無料訪問面談も実施しております。まずは無料相談でお話をお聞かせください
まとめ:一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください
遺産分割協議を進める中で、一部の相続人と連絡が取れないという問題は、精神的にも時間的にも大きな負担となります。しかし、この記事で解説したように、法的な手続きを踏むことで、解決に向けて前進できる可能性があります。
重要なポイントを振り返ります。
- 遺産分割協議は、相続人全員の参加が絶対条件です。
- 状況に応じて、「住所調査」「遺産分割調停」「不在者財産管理人選任」といった適切な手続きを選択する必要があります。
- これらの複雑な手続きは、専門家である司法書士に任せることで、スムーズかつ確実に進めることができます。
最も大切なことは、この問題を一人で抱え込まないことです。不安な気持ちのまま時間だけが過ぎてしまうと、相続税の申告期限などの問題も生じかねません。
えなみ司法書士事務所は、いつでも相談できる、皆様に一番近い法律の専門家でありたいと願っています。最初の一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきますので、どうぞお気軽にご連絡ください。

神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
相続手続きや商業登記を通じて、「いつでも相談できて、いつでも来てもらえる」存在でありたいという思いから、無料の訪問面談を実施しております。また、平日はお仕事のため面談の時間が取れないお客様のご要望にお応えするため、平日・土日祝日、21時まで対応可能です。
安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧にお手伝いします。どうぞお気軽にご連絡ください。
成年後見人を選ぶべき?専門家が判断基準と代替策を解説
ご家族のことでお悩みではありませんか?成年後見制度の判断は慎重に
※本記事は、えなみ司法書士事務所による成年後見等に関する情報提供(広告・PRを含みます)です。制度の適用可否は個別事情で異なるため、詳細は専門家・関係機関へご確認ください。
「最近、親の物忘れがひどくて心配…」「銀行窓口で、本人でないと預金が引き出せないと言われてしまった」「介護施設に入所したいのに、契約手続きが本人でないと進められない」
大切なご家族の判断能力に不安を感じ始めると、このような切実な問題に直面することがあります。どうすればいいのか分からず、インターネットで調べて「成年後見制度」という言葉にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
しかし、制度について調べれば調べるほど、「一度始めるとやめられない」「費用がかかり続ける」「財産の使い道が制限される」といったデメリットばかりが目につき、かえって不安が大きくなってしまう…。そんな悪循環に陥っていませんか?
この記事は、まさにそのようなお悩みと不安を抱えるあなたのために書きました。成年後見制度は、ご家族の財産と生活を守るための強力な仕組みですが、万能ではありません。ご家庭の状況によっては、別の方法が最適な選択となることもあります。
この記事を最後までお読みいただければ、成年後見制度を利用すべきかどうかの判断基準が明確になり、あなたのご家族にとって最善の選択肢は何か、その道しるべを見つけることができるはずです。
まずは現状を整理しよう-成年後見制度を検討するかの判断基準
成年後見制度を検討する最初のステップは、「ご自身の家族が今、どのような状況にあるのか」を客観的に把握することです。感情的になったり、焦ったりする気持ちは一旦横に置いて、以下のチェックリストで現状を整理してみましょう
【セルフチェック】成年後見人の選任が必要な可能性が高いケース
以下の項目に一つでも当てはまる場合、成年後見制度の利用を積極的に検討する必要があるかもしれません。これらの状況は、放置してしまうとご家族が経済的な不利益を被ったり、生活に支障が出たりする可能性が高いからです。
- 預貯金が凍結され、医療費や介護費の支払いに困っている
金融機関は、口座名義人の判断能力低下を把握すると、詐欺被害などを防ぐために口座を凍結することがあります。こうなると、たとえ家族であっても預金を引き出すことはできません。成年後見人には、ご本人に代わって預貯金の管理や払い戻しを行う法的な権限(代理権)があるため、この問題を解決できます。 - 不要な高額商品を繰り返し購入してしまうなど、悪質な訪問販売の被害にあっている
判断能力が不十分な状態で行った契約は、後から取り消せる場合があります。成年後見制度では、本人の判断能力が不十分な状態で行った契約について、後見人が取消しを主張できる場合があります(取消権)。※契約類型によっては、成年後見制度以外にも取消し・解除が認められる制度があります。 - ご本人が所有する不動産の売却や、施設の入所契約を進めたい
不動産の売買契約や、介護施設の入所契約といった重要な法律行為は、ご本人の明確な意思確認ができないと進めることができません。成年後見人がいれば、ご本人に代わってこれらの契約手続きを法的に有効に進めることが可能になります。 - 相続が発生したが、相続人の一人であるご本人の意思確認ができず、遺産分割協議が進まない
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。相続人の一人に判断能力が不十分な方がいる場合、その方が署名・押印した協議書は法的に無効となる可能性があります。この場合、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立て、後見人がご本人に代わって協議に参加する必要があります。
【要注意】選任を慎重に検討すべき・不要かもしれないケース
一方で、以下のようなケースでは、成年後見制度の利用が必ずしも最適な解決策とは限りません。制度の厳格さが、かえってご家族の希望を妨げてしまう可能性もあるため、慎重な検討が必要です。
- 財産が公的年金と、日常生活費程度の預貯金のみである
ご本人の財産が少なく、日々の金銭管理をご家族が問題なく行えている場合、費用や手間をかけてまで後見制度を利用する実益は小さいかもしれません。 - 将来の相続税対策として、生前贈与や不動産の有効活用を考えている
成年後見制度の第一目的は「ご本人の財産を厳格に保護すること」です。そのため、相続税対策のための生前贈与や、収益化を目的とした積極的な資産運用(アパート建築など)は、ご本人の財産を減らす行為とみなされ、家庭裁判所から許可されない可能性が非常に高いです。 - ご家族の間で、財産の管理方針について意見が対立している
「施設に入所させたい」「いや、在宅で介護すべきだ」など、ご家族の間で意見が割れている場合、後見人の選任申立てが親族間の対立をさらに深めてしまうことがあります。また、家庭裁判所が親族間の対立を懸念し、候補者として挙げた親族ではなく、中立的な立場の専門家(司法書士や弁護士)を後見人に選任するケースも少なくありません。
成年後見制度のメリットと、知っておくべき6つのデメリット
制度を利用するかどうかを最終的に判断するためには、メリットとデメリットの両方を正しく理解しておくことが不可欠です。ここでは、それぞれの側面を詳しく見ていきましょう。
メリット:大切な家族の財産と生活を守るための強力な仕組み
成年後見制度の最大のメリットは、法律に基づいた強力な権限によって、ご本人の財産と生活を包括的に守れる点にあります。
- 確実な財産管理と保全
後見人は、預貯金の管理、不動産の管理、年金の受領などを一括して行います。すべての収支は家庭裁判所に報告する義務があるため、透明性が高く、財産の不正利用を防ぐことができます。 - 不利益な契約からの保護(取消権)
前述の通り、ご本人が悪徳商法などで結んでしまった不利益な契約を、後から取り消すことができます。成年後見制度では、本人の判断能力が不十分な状態で行った契約について、後見人が取消しを主張できる場合があります(取消権)。※契約類型によっては、成年後見制度以外にも取消し・解除が認められる制度があります。 - 必要な契約手続きの代行(代理権)
介護サービスの利用契約、入院手続き、要介護認定の申請など、ご本人の生活に必要な様々な手続きをスムーズに進めることができます。これにより、ご家族の負担も大きく軽減されます。
デメリット:知らずに始めると後悔する6つの注意点
一方で、成年後見制度には知っておかなければならない注意点も多く存在します。これらは制度の目的が「本人の財産保護」を最優先に設計されているために生じるものです。
- 継続的な費用がかかる
申立て時に数万円程度の実費がかかるほか、司法書士などの専門家が後見人に選任された場合、家庭裁判所が事務内容や財産額等を踏まえて報酬を決定し、本人財産から支払われます(目安として月額2万~6万円程度とされることがあります)。親族後見では報酬を申立てない(結果として0円となる)場合もあります。支払いは、後見が終了するまで(多くは本人死亡までですが、判断能力の回復等で終了する場合もあります)継続します。 - 申立ての手続きに手間と時間がかかる
申立てには、戸籍謄本や財産目録、診断書など多くの書類が必要です。申立てから後見が開始されるまで、一般的に2~3ヶ月程度の時間がかかります。 - 財産の柔軟な活用ができない
相続税対策の生前贈与や、株式投資、収益不動産の購入といった積極的な資産活用は、本人の財産を減らすリスクがあるため、原則として認められません。 - 親族が後見人になれるとは限らない
申立ての際に親族を後見人の候補者として希望しても、財産額が大きい場合や親族間に争いがある場合などは、家庭裁判所の判断で中立的な専門家が選任されることがあります。 - 一度始めると、原則として途中でやめられない
成年後見制度は、ご本人の判断能力が回復しない限り、ご本人が亡くなるまで続きます。「財産活用のために一時的にやめたい」といったことは認められません。 - 家庭裁判所への報告義務など、負担が大きい
親族が後見人になった場合でも、定期的に家庭裁判所へ財産目録や収支状況を報告する義務があり、事務的な負担は決して軽くありません。
成年後見制度を使わないという選択肢|家族信託・任意後見という代替策
「成年後見制度は、うちのケースには合わないかもしれない…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。ご本人の判断能力がまだしっかりしているうちであれば、他の選択肢を検討することが可能です。ここでは代表的な2つの代替策をご紹介します。
柔軟な財産管理・承継を実現する「家族信託」
家族信託とは、ご本人が元気なうちに、信頼できるご家族(受託者)に財産の管理や処分を託す契約のことです。成年後見制度のデメリットである「財産の柔軟な活用ができない」点をカバーできるのが大きな特徴です。
- 特徴:契約内容をオーダーメイドで自由に設計できます。例えば、「アパート経営を長男に任せる」「自宅を売却して、その資金で施設費用を支払う」「自分が亡くなった後は、財産を妻に、妻が亡くなった後は孫に渡す」といった、資産の活用から承継までを指定できます。
- 注意点:あくまで財産管理の仕組みであり、成年後見人のような「取消権」はありません。また、契約を結ぶためには、ご本人に十分な判断能力があることが大前提となります。
将来の後見人を自分で決めておく「任意後見制度」
任意後見制度とは、ご本人が元気なうちに、将来自分の判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ後見人になってもらう人(任意後見人)と、その人に任せる仕事の内容を公正証書で決めておく制度です。
- 特徴:法定後見と違い、「誰に」「何を」お願いするかを自分で決められるのが最大のメリットです。信頼できるご家族や専門家を、ご自身の意思で将来の後見人として指名できます。
- 注意点:実際に効力が発生するのは、ご本人の判断能力が低下し、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任してからです。任意後見監督人(多くは司法書士などの専門家)への報酬が継続的に発生します。
【比較表】成年後見・任意後見・家族信託、あなたに合うのは?
ここまでご紹介した3つの制度について、それぞれの特徴を一覧表にまとめました。ご自身の状況と照らし合わせて、どの方法が最も適しているか検討する際の参考にしてください。
| 法定後見 | 任意後見 | 家族信託 | |
|---|---|---|---|
| 開始時期 | 判断能力の低下後 | 判断能力があるうち(契約時) | 判断能力があるうち(契約時) |
| 目的 | 本人の財産保護・身上監護 | 本人の意思に基づいた財産管理・身上監護 | 柔軟な財産管理・承継 |
| 財産管理の柔軟性 | 低い(厳格な保護) | 契約の範囲内 | 高い(契約次第) |
| 身上監護 | 可能 | 可能 | 不可 |
| 取消権 | あり | なし | なし |
| 裁判所の関与 | 常に関与(監督) | 関与(監督人の選任・監督) | 原則なし |
| 費用 | 申立費用+継続的な専門家報酬 | 契約費用+継続的な監督人報酬 | 契約費用(初期費用が中心) |
どの選択をすべきか迷ったら、司法書士へご相談ください
ここまで、成年後見制度の判断基準や代替策について解説してきましたが、「うちの家族の場合は、結局どれが一番いいのだろう…」と、さらに迷いが深まってしまった方もいらっしゃるかもしれません。それも当然のことです。ご家族の状況は一つとして同じものはなく、最適な解決策もそれぞれ異なります。
そんな時こそ、私たち司法書士のような専門家にご相談ください。専門家にご相談いただくことで、以下のようなメリットがあります。
- 現状の法的な問題点が明確になる
お話を伺うことで、ご家族が抱える問題の本質を法的な観点から整理し、今何をすべきかを明確にします。 - ご家族の状況に合った最適な解決策の提案が受けられる
成年後見制度、家族信託、任意後見など、様々な選択肢の中から、ご家族のご希望や財産状況に最も合ったプランをご提案します。 - 複雑な手続きを安心して任せられる
どの手続きを選択するにしても、専門的な書類の作成や役所とのやり取りが必要です。必要書類の作成支援や申立て準備、関係機関とのやり取り等をサポートすることで、ご家族の精神的・時間的負担の軽減につながります(※手続の性質上、ご本人・ご家族にご準備・ご協力いただく事項があります)。
えなみ司法書士事務所では、ご自宅などご指定の場所への無料訪問相談(横浜市・川崎市内に限る/要予約)を実施しております。また、お仕事でお忙しい方でもご相談いただきやすいよう、平日・土日祝日問わず21時まで対応しております。
一人で抱え込まず、まずはお話をお聞かせください。あなたとご家族が安心して未来へ進むための一歩を、私たちが全力でサポートいたします。

神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
相続手続きや商業登記を通じて、「いつでも相談できて、いつでも来てもらえる」存在でありたいという思いから、無料の訪問面談を実施しております。また、平日はお仕事のため面談の時間が取れないお客様のご要望にお応えするため、平日・土日祝日、21時まで対応可能です。
安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧にお手伝いします。どうぞお気軽にご連絡ください。
海外在住の相続人がいる相続登記|署名証明書・在留証明書などの特別な必要書類
相続人に海外在住者が…手続きが進まずお困りではありませんか?
ご親族が亡くなられ、相続手続きを進める中で「相続人の一人が海外に住んでいる」という状況に直面し、途方に暮れてはいませんか?
- 海外にいる相続人と連絡は取れるが、必要書類が日本と違うため、何をどう準備してもらえば良いのかわからない。
- 「署名証明書(サイン証明書)」や「在留証明書」といった聞き慣れない書類が必要と言われたが、どこで取得できるのか、種類があるのかも不明確だ。
- 手続きが滞ってしまい、不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約が進まず、焦りを感じている。
このようなお悩みは、決して珍しいことではありません。国際化が進んだ現代において、海外在住の相続人がいらっしゃるケースは年々増加しています。
この記事では、海外在住の相続人が関わる相続登記手続きに焦点を当て、特に手続きの要となる「署名証明書」「在留証明書」について、司法書士が専門家の視点から分かりやすく解説します。
本記事をお読みいただくことで、主な手続きの全体像や初めに取るべき対応が分かるように努めました。個別事案については、詳細な確認が必要ですので、必要に応じて専門家にご相談ください。
海外在住の相続手続き、基本の必要書類はこの2つ

海外にお住まいの場合、日本国内のように市区町村役場で印鑑登録をしたり、住民票を取得したりすることはできません。そのため、相続手続き、特に不動産の名義変更(相続登記)とくにその際必要となる遺産分割協議書(特殊な場合は上申書)においては、それらに代わる公的な証明書が必要となります。まずは、基本となる2つの書類の役割を理解しましょう。
印鑑証明書の代わり「署名証明書(サイン証明書)」とは
署名証明書(サイン証明書)とは、「本人が書類に署名(サイン)したことを証明する」ための公的な書類です。日本では遺産分割協議書などの重要書類に実印を押し、印鑑証明書を添付しますが、海外では印鑑登録の制度がありません。そこで、実印と印鑑証明書の代わりに、本人の署名(サイン)とその署名が本人のものであることを証明する署名証明書が用いられます。署名証明書は通常、在外公館(大使館・領事館)が発行しますが、居住国の公証人等が発行する署名証明書も、不動産登記手続の添付書面として代替が認められる場合があります(法務省案内)。提出先の法務局の確認を推奨します。
この証明書は、お住まいの国にある日本の大使館や領事館(在外公館)で、領事の目の前で本人が署名することによって発行されます。遺産分割協議の内容に相続人本人が同意したことを公的に証明する、非常に重要な役割を担っています。
住民票の代わり「在留証明書」とは
在留証明書とは、「海外のどこに住所を定めて住んでいるかを証明する」ための書類で、日本の住民票に相当するものです。在留証明は在外公館で取得できますが、発行要件や記載様式、当日交付の可否等は公館により異なります。提出先(法務局や金融機関)で必要な記載事項を事前に確認し、該当在外公館の発行要領を確認してください。
特に、不動産を相続して新しい登記名義人になる場合、登記簿に新しい所有者の住所・氏名を記載する必要があるため、この在留証明書が住所を証明する書類として必須となります。
【重要】署名証明書は2種類!登記で原則必要なのはどっち?
ここで非常に重要なポイントがあります。実は、署名証明書には2つのタイプが存在し、どちらを取得するかによって、手続きがスムーズに進むか、あるいは法務局で受理されずやり直しになるかが決まってしまう可能性があるのです。その違いをしっかり理解しておきましょう。

原則はこれ!遺産分割協議書と一体化させる「貼付型(合綴型)」
貼付型(がちょうがた)、または合綴型(がってつがた)と呼ばれるこのタイプは、海外在住の相続人が署名した遺産分割協議書そのものに、証明書を貼付して、一体化させる形式のものです。
実務上、不動産の相続登記では遺産分割協議書と証明書が一体化している(貼付・契印された)形態が望まれる場合が多く、貼付(合綴)形式を求められることがあります。最終的な可否は提出先の登記所(法務局)にご確認ください。
金融機関手続きで使う「単独型」
単独型とは、日本の印鑑証明書のように、「本人の署名(サイン)である」ということだけを単独で証明する形式の証明書です。特定の書類とは一体化されておらず、A4用紙1枚で発行されます。
この形式は、預貯金の解約など金融機関での手続きでは広く利用されています。複数の金融機関で手続きが必要な場合など、使い勝手が良いというメリットがあります。しかし、前述の通り、不動産登記においては遺産分割協議書との一体性が証明できないため、原則として認められにくいのが実情です。安易に単独型を取得してしまうと、登記申請の際に問題となる可能性があるため、注意が必要です。
相続登記で「上申書」が必要になるケースとは?
ここからは、さらに専門的な内容に踏み込みます。相続登記の手続きでは、通常は戸籍謄本や住民票、遺産分割協議書といった公的な書類で権利関係を証明していきます。しかし、時にはこれらの書類だけでは証明が不十分なケースが存在します。その際に登場するのが「上申書(じょうしんしょ)」です。
上申書とは、公的な証明書が不足している場合に、その事情を説明し、「間違いなく事実に相違ありません」と相続人全員で法務局(登記官)に申し立てるための書類です。海外在住の相続人が関わるケースでも、この上申書が必要になることがあります。

登記簿の住所と最終住所が繋がらない…そんな時に
上申書が必要になる最も典型的な例が、亡くなられた方(被相続人)の登記簿上の住所と、死亡時の最終住所が、公的な書類(住民票の除票や戸籍の附票など)で繋がらず、で権利証も紛失したケースです。
例えば、何十年も前に不動産を購入し、その後何度か引っ越しをしたものの、住所変更の登記をしないまま亡くなられた場合、登記簿には古い住所が記載されたままです。役所で取得できる書類だけでは、登記簿上の人物と亡くなった方が同一人物であることを証明できない状態になってしまうのです。
このような場合に、「登記簿に記載されているAという人物と、今回亡くなったBは、住所の変遷は追えませんが間違いなく同一人物です」ということを、相続人全員で申し立てるために上申書を作成します。 尚、住所等の変更登記は2026年4月1日から義務化され、義務化に伴う施策(スマート変更登記等)により、登記簿上の住所と死亡時住所が不整合となるケースの解消が図られる見込みです(法務省・政府広報)。関連情報として「検索用情報の申出とは?住所変更登記義務化の負担を軽くする新制度」もご参照ください。
上申書に添付する必要書類と記載内容のポイント
海外在住の相続人を含む相続人全員で上申書を作成する場合、以下の点がポイントとなります。
- 署名と証明書:上申書には相続人全員が署名します。日本在住の相続人は実印を押し、印鑑証明書を添付します。海外在住の相続人は署名(サイン)をし、署名証明書を添付します。場合によっては、上申書に添付する署名証明として単独型が受理されることがありますが、最終的な可否は当該管轄の法務局の判断によるため、事前に確認することをおすすめします。また、住所を証明するために在留証明書も必要です。
- 記載内容:上申書には、①なぜ公的書類で住所の繋がりが証明できないのかという経緯、②他に証明できる公的な書類が存在しないこと、③登記簿上の名義人と被相続人が間違いなく同一人物であること、などを記載し、相続人全員でその内容を証明する旨を申し立てます。
【当事務所の取り扱い事例】単独型の署名証明書で相続登記が認められたケース
海外在住の相続人が関わる手続きは、原則通りに進まない複雑な事案が少なくありません。ここでは、当事務所が実際に取り扱い、専門的な対応によって無事に登記を完了できた事例をご紹介します。
専門家の視点:法務局との事前協議が鍵!上申書と追加書類で登記を完了
ご依頼いただいたのは、仮登記(本登記の順位を確保するために行われる仮の登記)の相続登記という、非常に専門的な案件でした。ご状況を伺うと、被相続人の登記簿上の住所と最終住所が一致しないうえ、不動産の権利証(登記識別情報)も見当たらないという、まさに上申書が必要となる典型的なケースでした。
さらに、相続人の一人が海外にお住まいのため、署名証明書を取得していただく必要があったのですが、原則として不動産登記では認められない「単独型」の署名証明書しかご用意いただけない状況でした。
管轄の法務局の登記官と事前協議を開始し、貼付型が難しいのかという事情を丁寧に説明し、どうすれば登記官に「登記の真正性が担保できる」と判断してもらえるか、相談をしました。その結果、「不在籍・不在住証明書(その住所に本籍も住民登録もなかったことを証明する書類)」や「在留証明書」といった他の書類を追加で添付することを条件に、例外的に単独型の署名証明書で登記を受理してもらえるという内諾を得ることができました。その仮登記が古いものですぐに抹消する予定であった事情も対応に影響があったかもしれません。
この事例のように、原則論だけでは乗り越えられない壁に直面したとき、法律や実務の知識を基に法務局と的確な協議を行い、代替策を提示できるかどうかが、専門家の真価が問われる場面だと思います。
海外在住の相続手続きは司法書士への相談が安心です
ここまでご覧いただいたように、海外在住の相続人が関わる手続きは、必要書類の準備一つをとっても、国内での手続きとは異なる注意点が数多く存在します。特に、上申書が必要になるようなイレギュラーなケースでは、法務局との専門的な協議が不可欠となる場面も少なくありません。
ご自身で判断して書類を取得した結果、それが使えずに海外にいるご親族に再度書類取得をお願いするのは、時間的にも精神的にも大きな負担となります。
私たち司法書士は、相続手続きと登記の専門家です。どのような書類が必要か、どの種類の証明書を取得すべきかを的確に判断し、複雑な手続き全体をスムーズに代行することが可能です。
えなみ司法書士事務所(代表:司法書士 榎並慶太/神奈川県司法書士会所属 第2554号/所在地:〒220-0004 横浜市西区北幸1丁目11番1号 水信ビル7階)では、「いつでも相談できる、いつでも来てもらえる」をモットーに、横浜・川崎エリアを中心に、お客様のご自宅などへの無料訪問面談を実施しております。平日・土日祝日を問わず21時まで対応しておりますので、日中お忙しい方や、海外との時差がある方でも、ご都合の良い時間にご相談いただけます。
海外在住の相続人がいらっしゃる手続きでお困りの際は、一人で悩まず、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。専門家が、あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
相続手続きや商業登記を通じて、「いつでも相談できて、いつでも来てもらえる」存在でありたいという思いから、無料の訪問面談を実施しております。また、平日はお仕事のため面談の時間が取れないお客様のご要望にお応えするため、平日・土日祝日、21時まで対応可能です。
安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧にお手伝いします。どうぞお気軽にご連絡ください。
不動産個人間売買の完全ガイド|必要書類・費用・流れを専門家が解説
不動産の個人間売買、本当に大丈夫?まず知るべきメリットと注意点
ご親族やご友人との間で不動産の売買話がまとまったけれど、「不動産会社を通さないと、手続きが複雑で大変そう…」「後からトラブルになったらどうしよう…」と、大きな不安を感じていらっしゃいませんか?
仲介手数料を節約できるという魅力的なメリットがある一方で、専門的な知識がないまま個人間だけで取引を進めることには、たしかに様々なリスクが伴います。
でも、ご安心ください。この記事では、不動産取引の専門家である司法書士が、個人間売買の具体的な流れ、必要書類、費用、そして注意すべき点を一つひとつ丁寧に解説します。最後までお読みいただければ、安全に取引を終えるための道筋がはっきりと見えてくるはずです。
メリットは仲介手数料の節約だけではない
個人間売買の最大のメリットは、なんといっても不動産会社に支払う仲介手数料が不要になる点です。仲介手数料は法律で上限が定められており、例えば2,000万円の物件を売買した場合、売主・買主それぞれが70万円以上の手数料を支払うケースも少なくありません。この費用がまるまる節約できるのは、非常に大きな魅力と言えるでしょう。
それ以外にも、以下のようなメリットが考えられます。
- 取引条件を柔軟に決めやすい:当事者同士の話し合いで、引渡し時期や支払い方法などを比較的自由に設定できます。
- 消費税が原則かからない:売主が個人で事業者でない場合、土地はもちろん建物にも消費税はかかりません。
- 気兼ねなく交渉できる:すでに関係性ができているため、価格や条件についてオープンに話し合いやすい側面もあります。
【要注意】専門家が語る個人間売買の5つのリスク

多くのメリットがある一方で、私たちは司法書士として、安易な個人間売買が原因で深刻なトラブルに発展してしまったケースを数多く見てきました。取引を始める前に、以下の5つのリスクを必ずご理解ください。
- 契約内容の不備によるトラブル:インターネット上のひな形をそのまま使った結果、物件の状態や代金の支払い条件など、重要な取り決めが曖昧になり、後から「言った、言わない」の争いに発展するケースです。
- 物件の隠れた欠陥(契約不適合責任):売買後に雨漏りやシロアリ被害といった隠れた欠陥が見つかった場合、売主は買主に対して修繕や代金減額などの責任(契約不適合責任)を負う可能性があります。契約書でこの責任の範囲を明確にしておかないと、大きな紛争の原因となります。
- 住宅ローン審査の問題:買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関は取引の安全性を確認するため、不動産会社が作成する「重要事項説明書」の提出を求めることが一般的です。個人間売買ではこれがないため、ローン審査がスムーズに進まなかったり、融資を断られたりするリスクがあります。
- 煩雑な登記手続きのミス:不動産の名義変更(所有権移転登記)は、専門的な書類を正確に作成し、法務局に申請する必要があります。書類に不備があれば申請は受理されず、最悪の場合、代金を支払ったのに名義が変更できないという事態も起こり得ます。
- 予期せぬ税金問題:特に親族間の売買で、市場価格より著しく低い金額で取引すると、差額分が「贈与」とみなされ、高額な贈与税が課されることがあります。また、売主には売却益に対して譲渡所得税がかかる場合があるなど、税金の知識は不可欠です。
司法書士の視点:メリットとデメリットの本当の意味
「仲介手数料がかからない」というメリットは、確かに金銭的に大きな魅力です。しかし、それは「取引の安全性を確保するための専門家のサポートも、自分たちで手配する必要がある」ということの裏返しでもあります。
不動産会社は、物件調査から契約書作成、ローン手続きのサポートまで、取引全体の安全を管理する役割を担っています。その役割を省くということは、上で挙げたようなリスクをすべて当事者自身が管理しなければならない、ということです。
この点を理解せずにメリットだけを見て進めてしまうと、節約した仲介手数料をはるかに超える損失や、何より大切な人間関係の破綻に繋がることも少なくありません。だからこそ、私たちのような法律の専門家が、取引の安全を守るお手伝いをさせていただく意義があるのです。
【7ステップで解説】買主決定後の不動産個人間売買の全手続き

「リスクは分かったけれど、具体的に何から始めればいいの?」という方のために、買主が決まってから取引が完了するまでの全手続きを7つのステップに分けて解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、一つずつ確認していきましょう。
ステップ1:物件の調査と価格の最終合意
契約を結ぶ前に、売買の対象となる不動産について正確な情報を把握することが最も重要です。法務局で以下の書類を取得し、権利関係や物件の状況を確認しましょう。
- 登記事項証明書(登記簿謄本):誰が所有者か、担保(抵当権)は付いていないかなどを確認します。
- 公図や地積測量図:土地の形状や隣地との境界を確認します。
これらの調査は、後々のトラブルを防ぐための第一歩です。また、親しい間柄であっても、売買価格は近隣の取引事例などを参考に、客観的に見て妥当な金額を設定することが大切です。特に親族間で相場より極端に安い価格にすると贈与税の問題が生じる可能性があるため注意が必要です。最終的に合意した価格や条件は、口約束ではなく書面に残しておくと安心です。
参考:登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと
ステップ2:必要書類の準備【売主・買主別チェックリスト】
手続きをスムーズに進めるため、早めに必要書類の準備を始めましょう。一般的に必要となる書類は以下の通りです。
売主様にご準備いただく書類
| 書類名 | 取得場所 | 備考 |
|---|---|---|
| 登記済権利証または登記識別情報通知書 | (お手元で保管) | いわゆる「権利証」です。紛失した場合は特別な手続きが必要です。 |
| 印鑑証明書 | 市区町村役場 | 発行後3ヶ月以内のものが必要です。 |
| 固定資産評価証明書 | 市区町村役場(都税事務所) | 登記費用の計算に使用します。最新年度のものが必要です。 |
| 実印 | – | 契約書や登記関連書類への押印に使用します。 |
| 本人確認書類 | – | 運転免許証、マイナンバーカードなど顔写真付きのもの。 |
買主様にご準備いただく書類
| 書類名 | 取得場所 | 備考 |
|---|---|---|
| 住民票 | 市区町村役場 | 新しい名義を登記するために必要です。 |
| 認印または実印 | – | 契約書への押印に使用します。ローン利用時は実印と印鑑証明書が必要です。 |
| 本人確認書類 | – | 運転免許証、マイナンバーカードなど。 |
ステップ3:売買契約書の作成と締結
売買契約書は、個人間売買の心臓部とも言える最も重要な書類です。当事者間の合意内容を法的に有効な形で書面に落とし込み、将来のトラブルを防ぐ役割があります。最低限、以下の項目は必ず盛り込みましょう。
- 売主と買主の情報
- 物件の表示(登記事項証明書通りに正確に)
- 売買代金の額、手付金の額、支払日
- 所有権移転と引渡しの日
- 契約不適合責任の範囲(隠れた欠陥への対応)
- 手付解除や契約違反による解除の条件
- 固定資産税などの分担(公租公課の精算)
安易にインターネット上のひな形を使うと、ご自身の取引の実態に合わず、かえってリスクを高めることになりかねません。安全な取引のためには、個別の事情を反映させた、法的に不備のない契約書を作成することが不可欠です。
えなみ司法書士事務所(神奈川県司法書士会所属 第2554号)からのご提案
「契約書に何を書けばいいか分からない」「自分たちで作るのは不安だ」と感じられるのは当然のことです。不動産売買契約書の作成は、まさに私たち司法書士の専門分野です。当事務所では、お客様から丁寧にお話を伺い、お二人の合意内容を正確に反映した売買契約書の作成をサポートいたします。取引の安全性向上のために、契約書作成や登記手続のサポートを提供します。具体的な対応内容や範囲は個別に説明します。
ステップ4:【買主向け】住宅ローンの申込み
買主が住宅ローンを利用する場合、売買契約を締結した後に金融機関へ本申込みを行うのが一般的です。個人間売買の場合、金融機関は慎重に審査する傾向があります。
その際、締結した「売買契約書」の提出が必須となります。しっかりとした契約書が作成されていることが、審査をスムーズに進めるための鍵となります。万が一ローン審査に通らなかった場合に備え、契約を白紙撤回できる「住宅ローン特約」を契約書に盛り込んでおくことも非常に重要です。この点も踏まえ、契約書作成の段階から専門家にご相談いただくことをお勧めします。
ステップ5:決済(残代金支払)と物件の引渡し
決済日は、取引の最終段階です。一般的には、平日の午前中に金融機関の応接室などで行われます。当日は、売主・買主、そして司法書士が同席します。
決済当日の主な流れは以下の通りです。司法書士がこの場に立ち会うことで、お金の支払いと書類の受け渡しが確実に行われることを確認し、取引の安全を確保します。そして、書類をお預かりした司法書士は、原則として決済後速やかに法務局へ登記申請を行います。
- 司法書士による最終の本人確認と登記書類の確認
- 買主から売主へ残代金の送金手続き
- 売主による残代金の着金確認
- 売主から買主へ物件の鍵や関連書類の引渡し
- 司法書士が登記申請に必要な書類一式を預かる
司法書士がこの場に立ち会うことで、お金の支払いと書類の受け渡しが確実に行われることを確認し、取引の安全を確保します。そして、書類をお預かりした司法書士は、原則として決済後、速やかに登記申請を行います。
ステップ6:所有権移転登記の申請
決済で司法書士がお預かりした書類を使い、法務局へ不動産の名義を売主から買主へ変更する「所有権移転登記」を申請します。この登記を行って初めて、買主は第三者に対して自分が新しい所有者であることを法的に主張できるようになります。
登記手続きはご自身で行うことも不可能ではありませんが、書類作成の専門性が非常に高く、少しの間違いも許されません。安全・確実な名義変更のため、司法書士にご依頼いただくのが一般的です。
登記申請後、登記完了までの目安は通常数日〜数週間ですが、法務局の混雑状況や申請内容により1か月程度かかる場合もあります。手続きが完了すると、法務局から新しい権利証である「登記識別情報通知書」が発行され、司法書士経由で買主様のお手元に届けられます。
ステップ7:【売主向け】不動産売却後の確定申告
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、売主は売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行う必要があります。利益が出なかった場合でも、税金の特例を利用するためには確定申告が必要です。
税金の計算は非常に複雑ですので、詳細は税理士にご相談されることをお勧めします。もしお知り合いの税理士がいらっしゃらない場合は、ご希望に応じて提携または紹介可能な税理士をご案内しますので、お気軽にお声がけください(紹介先は外部専門家であり、費用や条件は紹介先と個別にご確認ください)。
知らないと損!個人間売買でかかる費用と税金のすべて

「仲介手数料はかからないけど、他にどんなお金が必要なの?」という疑問にお答えします。個人間売買で発生する主な費用と税金をまとめました。
売主・買主で分担する費用一覧(登録免許税・印紙税など)
| 費用の種類 | 誰が負担する?(一般的) | 内容 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 売主・買主で折半 | 売買契約書に貼る収入印紙代。売買金額によって額が変わります。 |
| 登録免許税 | 買主 | 所有権移転登記を申請する際に国に納める税金。固定資産評価額に基づいて計算されます。 |
| 書類取得費用 | 各々 | 住民票や印鑑証明書などの取得にかかる実費です。 |
| 司法書士報酬 | 買主(または双方で協議) | 契約書作成や登記申請を依頼した場合の専門家への報酬です。 |
【売主】譲渡所得税はいくら?計算方法と使える特例
売主が最も気をつけるべき税金が、譲渡所得税(所得税・住民税)です。これは、不動産を売却して得た利益に対して課税されます。
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
- 取得費:その不動産を購入したときの代金や手数料など。不明な場合は、売却価格の5%で計算することができます。
- 譲渡費用:売却のために直接かかった費用(印紙税、司法書士報酬など)。
この計算でプラスになった場合に税金がかかります。税率は不動産の所有期間によって異なり、5年を超えて所有していると税率が低くなります。また、マイホームを売却した場合には、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例など、様々な制度があります。これらを活用することで、納税額を大きく抑えられる可能性があります。
司法書士の視点:税金で失敗しないために
譲渡所得税は、不動産売買において最も金額が大きくなりやすい税金の一つです。特に「先祖代々の土地で取得費が分からない」「昔の契約書をなくしてしまった」というご相談は非常に多くいただきます。
取得費が不明だと、本来払う必要のない多額の税金を納めることになりかねません。また、親族間の売買で価格設定を誤り、後から税務署に贈与税を指摘されるケースも後を絶ちません。
私たちは登記の専門家ですが、税務に関しても基本的な知識は持ち合わせており、お客様の状況から税務上のリスクを早期に発見することができます。少しでもご不安があれば、契約を進める前に必ずご相談ください。必要に応じて、提携する税理士と連携し、お客様にとって最適な解決策をご提案いたします。
【買主】不動産取得税を忘れずに
買主が忘れてはならないのが、不動産取得税です。これは、不動産を取得したことに対して一度だけ課される都道府県税で、売買から数ヶ月後に納税通知書が送られてきます。
住宅用の不動産については大幅な軽減措置が設けられており、適用されれば税額がゼロになるケースも少なくありません。ただし、軽減措置を受けるためには申告が必要な場合がありますので、通知が届いたら内容をよく確認しましょう。
個人間売買の不安は司法書士が解決!サポート内容と費用

ここまでお読みいただき、個人間売買には専門的な知識が必要な場面が多く、ご自身たちだけで進めるには様々な不安が伴うことをご理解いただけたかと思います。そうした不安を解消し、安全な取引を実現するのが、私たち司法書士の役割です。
司法書士はどこまで頼める?不動産会社との違い
不動産会社と司法書士の役割は異なります。
- 不動産会社:主に「買主を見つける」という仲介業務が中心です。
- 司法書士:当事者が決まった後の、法的な手続きを安全に進める専門家です。
個人間売買において、司法書士は具体的に以下のようなサポートで取引の安全を守ります。
- 物件の権利関係調査
- 当事者のご意向を反映した売買契約書の作成
- 住宅ローン手続きのアドバイス
- 決済(代金支払)の立会い
- 法務局への所有権移転登記の申請
つまり、契約から登記まで、取引における法的な部分をトータルでサポートし、トラブルを未然に防ぐのが司法書士の仕事です。
えなみ司法書士事務所の個人間売買サポートプランと費用
えなみ司法書士事務所では、横浜市・川崎市を中心に、不動産の個人間売買をお考えのお客様を力強くサポートしております。
当事務所では、「売買契約書の作成」から「決済立会い」「登記申請」までをすべて含んだ、分かりやすい一括サポートプランをご用意しております。料金は、一括で対応するプランを総額表示でご案内しています。詳細はお問い合わせください。
私たちは単に手続きを代行するだけではありません。お客様一人ひとりのご不安に寄り添い、安心して取引を終えられるまで、親身にサポートするパートナーでありたいと考えています。
- 「何から手をつけていいか分からない」
- 「自分たちのケースでの費用が知りたい」
- 「とりあえず話だけ聞いてみたい」
どのようなご相談でも構いません。当事務所では、お客様のご自宅やご指定の場所へお伺いする「無料訪問面談」も実施しております(対象エリア:横浜市・川崎市。事前予約制)。平日・土日祝日問わず21時まで対応しておりますので、お仕事でお忙しい方も、どうぞお気軽にご連絡ください。
あなたの大切な不動産取引を、専門家として全力でサポートいたします。
まとめ:安心できる個人間売買のために、まずは専門家へ相談を
不動産の個人間売買は、仲介手数料を節約できるという大きなメリットがありますが、その裏には契約内容の不備や登記手続きのミス、予期せぬ税金問題など、様々なリスクが潜んでいます。
しかし、取引のポイントを正しく理解し、司法書士のような専門家のサポートを受けることで、これらのリスクを回避し、安全かつスムーズに取引を完了させることが可能です。
大切な財産と人間関係を守るためにも、ご自身たちだけで進めようとせず、まずは一度、専門家にご相談ください。その第一歩が、安心できる取引の実現に繋がります。

神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
相続手続きや商業登記を通じて、「いつでも相談できて、いつでも来てもらえる」存在でありたいという思いから、無料の訪問面談を実施しております。また、平日はお仕事のため面談の時間が取れないお客様のご要望にお応えするため、平日・土日祝日、21時まで対応可能です。
安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧にお手伝いします。どうぞお気軽にご連絡ください。
負担付死因贈与と遺贈の違いを比較|専門家が注意点を解説
「負担付死因贈与」と「遺贈」でお悩みの方へ
「長年連れ添ったパートナーに、財産の大部分を確実に残したい」
「自分の介護を最後まで担ってくれる約束で、自宅を譲りたい」
このようにお考えの方が、ご自身の亡き後に特定の誰かへ財産を渡す方法として、「負担付死因贈与(ふたんつきしいんぞうよ)」と「遺贈(いぞう)」という選択肢があります。
しかし、この二つの方法は似ているようで、実は重要な違いがたくさんあります。「どちらが自分の想いを叶えるのに最適なのだろう?」「手続きが複雑そうで、何から手をつけていいか分からない…」と、専門用語の多さに戸惑い、一人で悩んでいらっしゃるのではないでしょうか。
ご安心ください。この記事では、相続手続きを専門とする司法書士が、まるでカウンセリングでお話を伺うように、あなたの疑問や不安に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
この記事を最後までお読みいただければ、
- 負担付死因贈与と遺贈の決定的な違いが明確になります。
- ご自身の状況や想いに、どちらの方法が合っているか判断できるようになります。
- 手続きを確実にするためのポイントや、費用の目安がわかります。
あなたの「大切な人へ、大切な財産を確実に届けたい」という想いを実現するため、まずは一緒に知識を整理し、最適な道筋を見つけていきましょう。

負担付死因贈与と遺贈の5つの重要な違いを比較
まずは、負担付死因贈与と遺贈の最も重要な違いを5つのポイントに絞って見ていきましょう。言葉は難しいですが、一つひとつの意味を理解すれば、決して怖いものではありません。両者の根本的な性質の違いを知ることが、最適な選択への第一歩です。
| 比較項目 | 負担付死因贈与 | 遺贈 |
|---|---|---|
| ① 決め方 | 双方の合意(契約) | 一方的な意思表示(遺言) |
| ② 形式 | 口頭でも可能(契約書推奨) | 法律で定める厳格な書式が必須 |
| ③ 撤回 | 原則、一方的には撤回できない(負担履行後) | いつでも自由に撤回できる |
| ④ 不動産登記 | 生前に仮登記ができる | 仮登記はできない |
| ⑤ 税金・費用 | 不動産取得税がかかる | 不動産取得税は原則かからない(特定遺贈・相続人以外は課税) |
違い① 決め方:双方の「合意(契約)」か一方的な「意思表示(遺言)」か
最も根本的な違いは、その成立の仕方にあります。
- 負担付死因贈与:「私が亡くなったら、この家をあなたにあげます。その代わり、私が生きている間は生活の面倒を見てくださいね」という贈与者(あげる側)の申込みに対し、受贈者(もらう側)が「わかりました、お世話します」と承諾することで成立する、お互いの合意に基づく「契約」です。双方の意思が合致して初めて成り立ちます。
- 遺贈:遺言者が「私が亡くなったら、この家を〇〇さんに遺贈する」と、一方的な意思表示で遺言書に書き記すことで成立します。相手の同意は必要なく、亡くなるまで相手に知らせないことも可能です。
この「契約」か「単独行為」かという違いが、後の撤回のしやすさなど、様々な面に影響してくる重要なポイントです。
違い② 形式:口頭でも成立するか「厳格な書式」が必須か
次に、形式の違いです。
- 負担付死因贈与:契約ですので、極端な話、口約束でも成立します。
- 遺贈:必ず、民法で定められた厳格な方式(自筆証書遺言、公正証書遺言など)に従って遺言書を作成しなければ無効となります。
「口約束でもいいなら、死因贈与は簡単だ」と思われるかもしれませんが、これは大きな落とし穴です。亡くなった後では「言った、言わない」の水掛け論になり、他の相続人との間で深刻なトラブルに発展するケースが後を絶ちません。そのため、死因贈与契約を結ぶ際は、後でご紹介する「公正証書」という形で契約書を作成することが、ご自身の想いを守るために極めて重要になります。
違い③ 撤回:条件によって「撤回できない」場合があるか
一度決めた内容を後から変えられるか、という点も大きな違いです。
- 遺贈:遺言は、遺言者の最終の意思を尊重する制度です。そのため、いつでも自由に遺言書を書き直すことで、内容を撤回・変更できます。
- 負担付死因贈与:こちらは少し複雑です。民法上は遺贈のルールが準用されるため、原則として撤回は自由とされています。しかし、「負担付」の場合、受贈者(もらう側)がすでに負担(介護など)の全部または一部を履行している場合は、一方的に契約を撤回することは信義に反するため、特段の事情がない限り撤回できない、というのが判例(最判S57.4.30)の考え方です。
これは、贈与者(あげる側)にとっては自由度が低いデメリットに感じられるかもしれません。しかし、受贈者(もらう側)からすれば、「約束通りお世話をしたのに、後から一方的に約束を破棄される心配がない」という大きなメリットになります。

違い④ 不動産登記:「仮登記」で権利を保全できるか
不動産を渡したいとお考えの方にとって、これは決定的に重要な違いであり、私たち司法書士が最も専門性を発揮するポイントです。
- 負担付死因贈与:契約を結んだ後、贈与者が生きている間に、不動産の所有権が将来移転することを公示する「始期付所有権移転仮登記」という手続きができます。
- 遺贈:遺言はあくまで遺言者が亡くなってから効力が発生するため、生前に仮登記をすることはできません。
では、仮登記をすると何が良いのでしょうか?
仮登記をしておけば、万が一、贈与者が亡くなる前にその不動産を第三者に売ってしまったり、贈与者の借金のカタに差し押さえられたりしても、「この不動産の所有権は、将来私に移転することが決まっています」と第三者に対して主張(対抗)できます。つまり、もらう権利を法的に保全し、横取りされるリスクを防ぐことができるのです。
不動産を確実に渡したいと強く願うのであれば、この仮登記ができるという点は、死因贈与契約の非常に大きなメリットと言えるでしょう。(古い抵当権・仮登記の抹消|相続時のリスクと解決策を解説)
違い⑤ 税金・費用:手続きにかかるコストの違い
手続きにかかる税金や費用も気になるところですよね。まず、どちらの方法でも、遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合には、財産を受け取った側に相続税が課税される可能性があります。
違いが大きく出るのは、不動産の名義変更(登記)にかかる税金です。
- 不動産取得税
- 負担付死因贈与:本則は不動産の価額の4%ですが、宅地や住宅については、一定の要件下で軽減税率(3%)が適用される場合があります。適用要件や期限は変更される可能性があるため、詳細は取得時点の都道府県税事務所等にご確認ください。
- 遺贈:相続人が遺贈で取得した場合は非課税です。相続人以外が取得した場合は課税されます。
- 登録免許税(登記の際の税金)
- 負担付死因贈与:不動産の価額の2%です。
- 遺贈:相続人が遺贈で取得した場合は0.4%、相続人以外が取得した場合は2%です。
このように、財産を渡す相手が法定相続人(配偶者や子など)である場合は、遺贈の方が税制面で大きく優遇されています。これは重要な判断材料の一つになります。
【ケース別】あなたに合うのはどっち?メリット・デメリットから考える
ここまで見てきた違いを踏まえて、具体的にどのような場合にどちらの方法が適しているのか、贈与者(あげる側)と受贈者(もらう側)それぞれの視点から考えてみましょう。

負担付死因贈与がおすすめなケース
以下のような想いやご希望をお持ちの方には、負担付死因贈与が向いていると言えます。
- 「自分の介護や生活の面倒を見てもらう」ことを条件に、財産を渡したい方
相手に一定の義務(負担)を果たしてもらうことを約束させたい場合に最適です。相手が約束を守ってくれる限り、一方的に撤回される心配が少ないため、お互いにとって安心感があります。 - 内縁の妻や長年お世話になった友人など、相続権のない人に「確実に」財産を残したい方
生前に契約を交わし、相手の合意を得ておくことで、ご自身の意思を明確にできます。特に不動産の場合は仮登記をすることで、他の相続人から権利を主張されるリスクを大幅に減らせます。 - 不動産を確実に渡すため、生前に権利を保全しておきたい方
前述の通り、仮登記ができるのは死因贈与契約の最大の強みです。不動産という重要な財産を確実に守りたい場合には、この方法が非常に有効です。特に、贈与者が借入や滞納税等があり差押えの危険のある場合、仮登記をすることで差押債権者に優先権を主張でき、確実に権利を保全できます。
遺贈がおすすめなケース
一方で、こちらのような状況の方には、遺贈がより適しているでしょう。
- 財産を渡すことを、相手や他の相続人に知られずに準備を進めたい方
遺言は、ご自身の単独の意思で、秘密裏に作成することができます。亡くなるまでその内容を誰にも知られることなく、準備を進めることが可能です。 - 将来、気持ちが変わる可能性があるので、自由に変更・撤回できるようにしておきたい方
人の気持ちや状況は変わるものです。「今はこう考えているけれど、数年後はどうなるか分からない」という場合、いつでも自由に書き直せる遺言の方が柔軟に対応できます。 - 財産を渡す相手が配偶者や子などの法定相続人で、税金の負担を少しでも軽くしたい方
先ほどご説明した通り、不動産取得税や登録免許税の面で、相続人が財産を受け取る場合は遺贈が有利です。無用な税負担を避けるための賢い選択と言えます。
手続きを確実にする3つの重要ポイントと費用
どちらの方法を選ぶにしても、あなたの最後の想いを確実に実現するためには、手続きを正しく、そして慎重に進めることが不可欠です。ここでは、特に重要な3つのポイントと、それに伴う費用について解説します。
ポイント① なぜ「公正証書」で契約書を作成すべきか?
負担付死因贈与契約は口約束でも成立するとお伝えしましたが、トラブルを防ぎ、手続きをスムーズに進めるためには、必ず「公正証書」で契約書を作成することを強くお勧めします。
公正証書とは、公証役場で公証人という法律の専門家が作成する公的な文書です。これには以下のような大きなメリットがあります。
- 高い証明力:公証人が内容を確認して作成するため、後から「そんな契約はしていない」といった争いが起きるのを防ぎます。
- 安全な保管:原本が公証役場に保管されるため、紛失や偽造、改ざんの心配がありません。
- スムーズな手続き:公正証書があれば、贈与者が亡くなった後の不動産登記手続きを、受贈者が単独でスムーズに進めることができます。(公正証書がない場合、他の相続人全員の実印と印鑑証明書が必要になるなど、手続きが非常に煩雑になります)
公正証書の作成には、公証人に支払う手数料がかかります。これは契約の目的となる財産の価額によって変動します。
| 目的の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 17,000円 |
| 1,000万円超3,000万円以下 | 23,000円 |
| 3,000万円超5,000万円以下 | 29,000円 |
※上記は一例です。事案により加算される場合があります。
多少の費用はかかりますが、将来のトラブルを未然に防ぎ、想いを確実に実現できる安心感を考えれば、その価値は非常に大きいと言えるでしょう。

ポイント② 不動産なら必須!「仮登記」の手続きと注意点
不動産の負担付死因贈与契約を結んだら、速やかに「始期付所有権移転仮登記」を申請することが極めて重要です。これは、あなたの権利を守るためのいわば「予約」のようなものです。
仮登記を怠ると、もし贈与者があなた以外の第三者に不動産を売却して登記を移してしまった場合、あなたが「この家はもらえるはずだった」と主張しても、法的には認められなくなってしまいます。このような悲しい事態を防ぐためにも、仮登記は必須の手続きです。
【仮登記の手続きの流れ(司法書士に依頼した場合)
- 司法書士が贈与者・受贈者と面談し、意思確認・本人確認
- 司法書士が登記に必要な書類(登記原因証明情報など)を作成
- 贈与者から実印・印鑑証明書・登記識別情報(権利証)などをお預かり
- 受贈者から住民票などをお預かり
- 司法書士が法務局へ登記申請
- 登記完了後、登記識別情報通知などをお渡し
仮登記の申請には、登録免許税として不動産の固定資産評価額の1%がかかります。手続きは専門的で複雑なため、私たち司法書士にお任せいただくのが最も安全で確実です。
ポイント③ 総額はいくら?専門家(司法書士)への依頼費用
負担付死因贈与契約や遺言書の作成を司法書士に依頼する場合、どれくらいの費用がかかるのか、ご不安に思われる方も多いでしょう。
当事務所では、お客様に安心してご依頼いただけるよう、分かりやすい料金体系と、追加料金のない総額表示を心がけております。
【えなみ司法書士事務所の費用目安】
- 負担付死因贈与契約書作成サポート:33,000円(税込)~
- 公正証書作成サポート:上記に加えて 11,000円(税込)~
- 仮登記申請:33,000円(税込)~ + 登録免許税実費
- 公正証書遺言作成サポート:88,000円(税込)~
※事案の難易度や財産の額によって変動します。必ず事前にお見積りを提示し、ご納得いただいた上で手続きを進めますのでご安心ください。
手続きを進める上での注意点|遺留分トラブルを避けるために
最後に、どちらの方法を選ぶにしても必ず知っておいていただきたいのが「遺留分(いりゅうぶん)」の問題です。
遺留分とは、兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者、子、親など)に法律上最低限保障されている遺産の取り分のことです。
例えば、「内縁の妻に全財産を死因贈与する」という契約を結んだとしても、もし法定相続人であるお子さんがいれば、そのお子さんはご自身の遺留分を主張し、「遺産の一部を渡してください」と請求する権利(遺留分侵害額請求)があります。
この遺留分を無視した内容の死因贈与契約や遺言は、無効になるわけではありませんが、将来、相続をめぐる深刻なトラブルの火種になる可能性が非常に高いのです。
あなたの想いを円満に実現するためには、他の相続人の遺留分にも配慮した財産の分け方を検討することが大切です。どのくらいの配慮が必要かについては、ご家族構成や財産状況によって異なりますので、ぜひ一度、専門家にご相談ください。
まとめ:あなたの想いを確実に実現するために、専門家へご相談ください
今回は、「負担付死因贈与」と「遺贈」という、二つの大切な想いを託す方法について詳しく解説してきました。
【この記事のポイント】
- 負担付死因贈与は「契約」。双方の合意に基づき、特に負担の履行後は撤回が難しく、不動産の仮登記で権利を保全できる「確実性」が強み。
- 遺贈は「遺言」。一方的な意思表示で、いつでも自由に撤回でき、相続人への税負担が軽い「自由度」と「柔軟性」が強み。
- どちらを選ぶかは、「誰に」「何を」「どのような条件で」「どれだけ確実に」渡したいかによって決まります。
- 想いを確実に形にするためには、「公正証書」の作成や「仮登記」、そして「遺留分」への配慮が不可欠です。
どちらの方法がご自身にとって最適なのか、最終的な判断は簡単なものではないかもしれません。ご自身の想いやご家族との関係、財産の内容などを総合的に考え、法的な知識と実務経験を持つ専門家と一緒に検討することが、後悔のない選択への一番の近道です。
私たち、えなみ司法書士事務所(所在地:〒220-0004 横浜市西区北幸1丁目11番1号 水信ビル7階)は、代表の司法書士 榎並慶太(神奈川県司法書士会所属 第2554号)が、皆様のこうしたお悩みに寄り添い、「ご安心」を提供することを使命としています。
「まずは話だけ聞いてみたい」「自分の場合はどうなるのか知りたい」そんなお気持ちで構いません。当事務所では、お客様のご自宅などご希望の場所へ伺う「無料訪問面談」を実施しております。平日・土日祝日問わず21時まで対応しておりますので、お仕事でお忙しい方でも、ご都合の良い時間にご相談いただけます。
あなたのその大切な想いを、法的に確実な形で未来へ繋ぐお手伝いをさせていただけませんか。どうぞ、一人で悩まず、お気軽にご連絡ください。

神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
相続手続きや商業登記を通じて、「いつでも相談できて、いつでも来てもらえる」存在でありたいという思いから、無料の訪問面談を実施しております。また、平日はお仕事のため面談の時間が取れないお客様のご要望にお応えするため、平日・土日祝日、21時まで対応可能です。
安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧にお手伝いします。どうぞお気軽にご連絡ください。
遺産分割3つの方法|現物・換価・代償分割を司法書士が比較解説
遺産分割でお悩みですか?まずは3つの方法を知ることから始めましょう
「親が遺してくれた大切な財産、どうやって分ければいいのだろう…」
「兄弟と揉めることなく、みんなが納得できる方法はないかな…」
ご家族が亡くなられ、遺産分割について考え始めたとき、多くの方がこのような不安や疑問を抱えていらっしゃいます。特に、これまで相続を経験したことがない方にとっては、何から手をつけて良いのか分からず、途方に暮れてしまうのも無理はありません。
遺産分割は、単に財産を分けるという事務的な手続きではありません。ご家族それぞれの想いや今後の生活設計が関わる、非常にデリケートな話し合いです。
でも、ご安心ください。まずは、遺産分割の基本的な「3つの方法」を知ることから始めましょう。この記事では、私たち司法書士が実務で取り扱う代表的な3つの分割方法について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを、できるだけやさしい言葉で解説していきます。
この記事を読み終える頃には、ご自身の状況にどの方法が合いそうか、その糸口が見つかるはずです。あなたとご家族が、円満な遺産分割への第一歩を踏み出すお手伝いができれば幸いです。
遺産分割の基本3つの方法|現物・換価・代償分割を比較
遺産分割には、大きく分けて「現物分割(げんぶつぶんかつ)」「換価分割(かんかぶんかつ)」「代償分割(だいしょうぶんかつ)」という3つの方法があります。どの方法が良い・悪いということはなく、遺産の内容や相続人の方々のご希望によって、最適な方法は異なります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

| 分割方法 | 概要 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 現物分割 | 財産をそのままの形で分ける | ・手続きがシンプル・特定の財産を残せる | ・価値を完全に公平にするのが難しい・財産の種類が少ないと不公平感が出やすい |
| 換価分割 | 財産を売却し、現金で分ける | ・公平に分けやすい・誰も使わない財産を整理できる | ・売却の手間と費用がかかる・譲渡所得税がかかる可能性がある |
| 代償分割 | 一人が多く相続し、差額を他の相続人に現金で支払う | ・事業や家業を継ぐ場合に有効・特定の財産を分けずに維持できる | ・財産を相続する人に十分な資力が必要・不動産の評価額で揉めることがある |
①現物分割:財産をそのままの形で分ける最もシンプルな方法
現物分割とは、遺産をその物理的な形のまま、それぞれの相続人に分配する方法です。例えば、「実家の土地と建物は長男に、預貯金は次男に、有価証券は長女に」といった分け方がこれにあたります。
メリット
この方法の最大のメリットは、手続きが比較的シンプルであることです。財産を売却したり、金銭のやり取りをしたりする必要がないため、手間や費用を抑えやすい傾向にあります。
デメリット
一方で、それぞれの財産の価値が異なるため、法定相続分通りにぴったり公平に分けることが難しいというデメリットがあります。例えば、土地の価値が預貯金の額より大幅に高い場合、預貯金を受け取った相続人に不公平感が生まれる可能性があります。
また、一つの土地を複数の相続人で分ける「分筆」という方法もありますが、分筆によって土地の形が悪くなり価値が下がってしまったり、分筆のための測量や登記に費用がかかったりすることもあるため、慎重な検討が必要です。
②換価分割:財産を売却して現金で公平に分ける方法
換価分割とは、不動産などの遺産を売却して現金に換え、その現金を相続人間で分配する方法です。「実家を売却し、その売却代金を兄弟で半分ずつ分ける」といったケースが典型例です。
メリット
この方法のメリットは、なんといっても公平性を保ちやすい点です。1円単位で正確に分割できるため、相続人間の不満が出にくいと言えるでしょう。また、誰も住む予定のない不動産などを円満に整理できるという利点もあります。
デメリット
デメリットとしては、まず財産を売却するための手間と時間がかかることが挙げられます。不動産会社への依頼、買主探し、契約手続きなどが必要です。また、仲介手数料や登記費用などの諸経費がかかります。さらに、売却によって利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税・住民税が課税される可能性がある点にも注意が必要です。
ただし、税金については一定の要件を満たせば利用できる特例制度もあります。換価分割を検討する際は、税理士などの専門家と連携して進めることが大切です。
③代償分割:特定の人が多く相続する代わりに差額を現金で支払う方法
代償分割とは、相続人の一人が法定相続分を超える財産(例えば実家の不動産すべて)を相続する代わりに、他の相続人に対してその超えた部分に相当する現金(代償金)を支払う方法です。「長男が実家をすべて相続する代わりに、次男に法定相続分に相当する1,000万円を支払う」といった形です。
メリット
この方法は、家業で使っている土地や工場、ご家族が住み続けるご自宅など、分割することが難しい、あるいは望ましくない財産がある場合に非常に有効です。特定の財産を維持しながら、他の相続人との公平性も確保することができます。
デメリット
最大の課題は、財産を多く取得する相続人に、代償金を支払うだけの十分な資力(預貯金など)が必要となる点です。また、代償金の額を決める基礎となる不動産の評価額をいくらにするかで、相続人間の意見が対立しやすいという側面もあります。この方法は専門的な判断を要する場面が多いため、専門家を交えて慎重に話し合いを進めることが重要です。
【状況別】あなたに最適な遺産分割方法は?ケーススタディで解説
ここまで3つの方法を見てきましたが、ご自身の状況にどれが当てはまるか、具体的なイメージを掴んでいただくために、いくつかのケーススタディをご紹介します。

ケース1:財産が不動産のみで、誰も住む予定がない場合
→ 換価分割が有力な選択肢です。
相続財産がご実家の不動産のみで、相続人の誰もがそこに住むことを希望していない、というケースは少なくありません。このような場合、不動産をそのままにしておくと、固定資産税や管理の負担だけが相続人にのしかかってしまいます。
換価分割を選べば、不動産を売却して現金化し、その現金を公平に分配できます。これにより、管理の負担から解放され、各相続人がそれぞれの生活のために資金を活用できるようになります。私たち司法書士は、売却の前提となる相続登記から、不動産会社との連携、売買の決済立会いまで、スムーズな売却手続きをサポートいたします。
ケース2:長男が親と同居していた実家と、少しの預貯金がある場合
→ 代償分割が有力な選択肢です。
長年ご両親と同居し、今後もその家に住み続けたいと長男が希望している一方で、他の兄弟にも公平に財産を分けたい、というご希望がある場合です。
この場合、長男が実家をすべて相続し、他の兄弟には法定相続分との差額を代償金として支払う「代償分割」が適しています。これにより、長男は生活の基盤を失うことなく、他の兄弟も金銭で相続分を受け取ることができ、全員の納得を得やすくなります。
課題となる不動産の評価については、相続税路線価や固定資産税評価額、不動産会社の査定額などを参考に、相続人全員で話し合って決定するのが一般的です。代償金の支払いに遺産の預貯金を充て、それでも不足する分は長男個人の資金から支払うといった方法が考えられます。
ケース3:複数の不動産と預貯金があり、相続人がそれぞれ希望する場合
→ 現物分割と代償分割の組み合わせが有効です。
例えば、ご実家の土地建物、賃貸アパート、預貯金といった複数の財産があり、「長男は実家に住みたい」「次男はアパート経営を引き継ぎたい」といったように、相続人それぞれの希望があるケースです。
このような場合は、まずそれぞれの希望に沿って「現物分割」を行います。その上で、各人が取得した財産の評価額を算出し、法定相続分との間に生じた差額(不公平)を、多くもらった人が少なくもらった人へ現金を支払う「代償分割」で調整します。
このように複数の方法を組み合わせることで、柔軟な解決が可能になります。ただし、計算や手続きが複雑になりがちですので、専門家が間に入ることで、各財産の評価から公平な分割案の作成、協議書の作成まで、話し合いを円滑に進めるお手伝いができます。
分割方法が決まったら|遺産分割協議書の作成ポイント
相続人全員で話し合い、分割方法がまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」という書面に残します。この協議書は、後の不動産登記や預貯金の解約手続きで必要となる非常に重要な書類です。
そして、選択した分割方法によって、協議書に記載すべき内容には特有のポイントがあります。ここを疎かにすると、後々のトラブルの原因になったり、手続きがスムーズに進まなくなったりする可能性があります。
司法書士より一言:遺産分割協議書は「未来の安心」への契約書です
遺産分割協議書は、単なる話し合いの記録ではありません。相続人全員が合意した内容を法的に確定させ、将来起こりうる「言った、言わない」のトラブルを防ぐための、ご家族間の大切な契約書です。特に、不動産が含まれる場合や、換価分割・代償分割のように金銭のやり取りが発生する場合は、その内容を正確かつ明確に記載することが、ご家族の未来の安心に繋がります。私たち専門家は、お客様それぞれの状況に合わせ、最適な分割方法をご提案するだけでなく、その合意内容を法的に不備のない形で書面に残すお手伝いをしています。それが、私たちの考える「ご安心」の提供です。
現物分割の場合:「誰が」「どの財産を」特定して記載する
現物分割の協議書では、「どの相続人が、どの財産を取得するのか」を誰が見ても一義的に明らかになるように記載することが最も重要です。
特に不動産については、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されている通りに、一字一句正確に書き写す必要があります。「所在、地番、地目、地積」といった情報を省略せずに記載します。なぜなら、この協議書を使って法務局に相続登記を申請する際、登記簿の情報と協議書の情報が一致していないと、申請が受理されないからです。
換価分割の場合:売却担当者と代金の分配割合を明記する
換価分割を行う場合は、現物分割の記載に加えて、換価分割特有の取り決めを明記する必要があります。具体的には、以下のような内容です。
- 対象となる財産を売却(換価)し、その代金を分配すること
- 相続人の代表として、誰が売却手続きを行うのか(売却担当者)
- 売却にかかった費用(仲介手数料、税金など)を差し引いた後の代金を、どのような割合で分配するのか
これらの点をあらかじめ書面で明確にしておくことで、「売却活動に協力的でない人がいる」「経費の負担で揉める」といった売却後のトラブルを防ぐことができます。

代償分割の場合:代償金の金額、支払期日、支払方法を定める
代償分割の協議書で最も重要なのが、「代償金に関する条項」です。後々のトラブルを避けるため、以下の項目を具体的かつ明確に記載することが不可欠です。
- 代償金の具体的な金額(例:金1,000万円)
- 支払期日(例:令和〇年〇月〇日まで)
- 支払方法(例:〇〇が所有する下記銀行口座へ振り込んで支払う)
「後で払うから」といった口約束だけでは、万が一支払いが滞った際に法的な証明が難しくなります。協議書にこれらの条項をきちんと定めることで、契約書としての効力を持たせ、約束を確実なものにすることができます。場合によっては、支払いが遅れた場合の遅延損害金について定めることもあります。
遺産分割協議書の作成については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
遺産分割協議書の作成
遺産分割で迷ったら、まずは司法書士にご相談ください
ここまで遺産分割の3つの方法と、遺産分割協議書の作成ポイントについて解説してきました。どの方法にもメリット・デメリットがあり、どの方法が最適かは、ご家族の状況によって本当に様々です。
遺産分割には、法律や税金の問題が複雑に絡み合います。相続人の方々だけで話し合いを進め、法的に不備のない書類を作成するのは、精神的にも時間的にも大きなご負担となることでしょう。
そんなときこそ、私たち司法書士のような専門家を頼ってください。えなみ司法書士事務所では、まずお客様のお話をじっくりと伺うことから始めます。ご家族の状況、財産の内容、そして何より皆様の「想い」を丁寧にお聞きした上で、ご家族にとって最も円満な解決に繋がる分割方法をご提案いたします。
そして、話し合いがまとまった後の遺産分割協議書の作成、その後の不動産の名義変更(相続登記)まで、責任を持って一貫してサポートさせていただきます。
「いつでも相談できる、いつでも来てもらえる」をモットーに、横浜・川崎エリアを中心に無料での訪問相談も行っております(要事前予約)。平日はもちろん、土日祝日も夜21時までご相談に対応しておりますので、お仕事でお忙しい方も、どうぞお気軽にご連絡ください。あなたとご家族が、一日も早く「ご安心」いただけるよう、全力でお手伝いさせていただきます。
えなみ司法書士事務所
代表司法書士:榎並 慶太
所在地:〒220-0004 横浜市西区北幸1丁目11番1号 水信ビル7階
所属:神奈川県司法書士会(第2554号)

神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
相続手続きや商業登記を通じて、「いつでも相談できて、いつでも来てもらえる」存在でありたいという思いから、無料の訪問面談を実施しております。また、平日はお仕事のため面談の時間が取れないお客様のご要望にお応えするため、平日・土日祝日、21時まで対応可能です。
安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧にお手伝いします。どうぞお気軽にご連絡ください。
離婚の財産分与手続き|流れ・費用・注意点を司法書士が解説
離婚後の新生活へ、まず知っておきたい財産分与の基本
離婚という大きな決断をされ、これからの生活に向けて様々な手続きを進めていらっしゃる最中かと思います。期待と同時に、多くの不安を抱えていらっしゃるかもしれません。特に「財産分与」と聞くと、なんだか難しくて大変そうだと感じてしまう方も少なくないでしょう。
しかし、財産分与は、お二人がこれまで共に歩んできた証をきちんと整理し、それぞれが新しい未来へ安心して踏み出すための、とても大切な手続きです。この記事では、離婚に伴う財産分与の基本的な知識から、具体的な手続きの流れ、費用や注意点まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。あなたの不安を少しでも和らげ、次の一歩を踏み出すための道しるべとなれば幸いです。

財産分与とは?夫婦で築いた財産を公平に分ける手続き
財産分与とは、法律(民法768条)で定められた権利で、夫婦が婚姻中に協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて公平に分け合うことをいいます。
よく「慰謝料」と混同されがちですが、財産分与は離婚の原因を作ったかどうかに関わらず、どちらからでも請求できる点が大きな違いです。たとえご自身の名義ではない財産であっても、夫婦で協力して得たものであれば分与の対象となります。
私たち、えなみ司法書士事務所では、財産分与後の法的手続(例:不動産の名義変更登記など)について業務として対応しております。具体的な手続き内容や費用は個別にご説明します。
いつまでに?財産分与の請求には「離婚後2年」の期限あり
財産分与でまず覚えておきたいのが、請求できる期間に限りがあるということです。具体的には、離婚が成立した日から2年以内に請求しなければ、その権利がなくなってしまう可能性があります(これを法律上「除斥期間」といいます)。(注)現行では離婚成立から2年が除斥期間とされていますが、民法改正により一部の除斥期間が5年へ延長されることが決まっており、施行期日は法改正の経過規定を確認してください。最新の施行状況は法務省・官報等の公的情報で必ずご確認ください。
「離婚だけでも大変なのに、財産のことまで考える余裕がない…」とお感じになるかもしれませんが、大切な権利を失わないためにも、先延ばしにするのは避けたいところです。だからこそ、この記事を読んでいただいている今のうちに正しい知識を身につけ、計画的に手続きを進めていくことがとても大切になります。
【ステップ1】何が対象?財産分与の対象をリストアップする
財産分与を進めるにあたり、最初のステップは「何を分けるのか」を明確にすることです。夫婦の財産は、分与の対象となる「共有財産」と、対象とならない「特有財産」の2つに分けられます。ご自身の状況に当てはめながら、どのような財産があるかリストアップしてみましょう。
分けるべき「共有財産」とは?名義は関係ありません
共有財産とは、婚姻期間中に夫婦が協力して得た財産のことです。ここでの「協力」には、会社員として外で働くことだけでなく、家事や育児といった家庭を支える貢献ももちろん含まれます。
したがって、財産の名義が夫または妻のどちらか一方になっていても、それが婚姻中に得たものであれば共有財産とみなされるのが原則です。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 預貯金:夫婦それぞれや子どもの名義の口座でも、原資が婚姻中の収入であれば対象です。
- 不動産:夫婦で購入した家やマンション、土地など。
- 自動車:夫婦のどちらかの名義で購入した車。
- 生命保険など:婚姻中に支払った保険料に対応する解約返戻金。
- 有価証券:株式、投資信託など。
- 退職金・年金:将来受け取る退職金や年金も、婚姻期間に対応する部分は分与の対象となり得ます。
専業主婦(主夫)の方も、家庭を支えるという形で財産の形成に貢献しているため、もちろん財産分与を請求する権利があります。
分ける必要のない「特有財産」とは?
一方で、財産分与の対象にならないのが「特有財産」です。これは、夫婦の一方が婚姻前から所有していた財産や、婚姻中であっても親からの相続・贈与によって得た財産を指します。
- 結婚前から持っていた預貯金
- 親から相続した不動産や株式
- 親から個人的に贈与された金銭
ただし、注意点もあります。例えば、結婚前から持っていた預貯金口座に、婚姻後の給与などが振り込まれ、生活費として使われるなどして混ざってしまうと、どこまでが特有財産なのか区別が難しくなるケースがあります。このような場合は判断が複雑になるため、一度専門家にご相談いただくことをお勧めします。
【ステップ2】どう進める?財産分与の手続き3つの流れ
分けるべき財産がリストアップできたら、次はいよいよ具体的な手続きに進みます。財産分与は、まず夫婦間の話し合いから始まり、それが難しい場合には法的な手続きへと移行します。ここでは、その3つのステップを順番に見ていきましょう。

①夫婦での話し合い(協議)と合意内容の書面化
財産分与の最も基本となる進め方は、夫婦間での話し合い(協議)です。お互いが納得できる形で、誰がどの財産をどれだけ取得するのかを決めていきます。
そして、ここで非常に大切なのが、合意した内容を必ず書面に残すことです。口約束だけでは、後になって「言った」「言わない」といったトラブルに発展しかねません。この合意書を「離婚協議書」といいます。
さらに、この離婚協議書を公正証書(特に「強制執行認諾文言」を付したもの)にしておくと、債務者が支払いを怠った際に裁判を経ずに強制執行手続に移行できる場合があります。公正証書の記載内容によって効力が異なるため、公証人や専門家と具体的に確認してください。
②話し合いがまとまらない場合は「財産分与請求調停」
夫婦間での話し合いではどうしても意見が合わない、あるいは相手が話し合いに応じてくれないといった場合には、家庭裁判所に「財産分与請求調停」を申し立てることができます。
調停では、裁判官と調停委員(民間の有識者)が中立な立場で間に入り、双方の意見を聞きながら、解決策を探る手助けをしてくれます。第三者が関わることで、感情的にならずに冷静な話し合いが進められるというメリットがあります。
参考:財産分与請求調停
③調停でも不成立なら「審判」へ
調停でも話し合いがまとまらず、不成立となった場合は、自動的に「審判」という手続きに移行します。
審判では、調停のように話し合いで合意を目指すのではなく、裁判官が双方から提出された資料や主張など、一切の事情を考慮して、財産の分け方を法的に決定します。この審判の内容には、判決と同じ効力があります。
【ステップ3】不動産の財産分与|司法書士による名義変更登記
財産分与の中でも、特に手続きが複雑になりがちなのが、ご自宅の土地や建物といった「不動産」です。ここでは、財産分与の合意が成立した後の、不動産の名義変更(所有権移転登記)について、司法書士の専門分野として詳しく解説していきます。
なぜ登記が必要?名義変更をしないと起こる将来のリスク
「話し合いで家をもらうと決まったのだから、それで終わりじゃないの?」と思われるかもしれませんが、それは大きな間違いです。口約束や離婚協議書だけでは、その不動産が本当に自分のものになったと第三者(他の誰か)に対して主張することはできません。これを法的に確定させる手続きが「登記」です。
もし名義変更をしないまま放置すると、以下のような深刻なリスクが生じる可能性があります。
- 不動産を売却したり、担保に入れて融資を受けたりできない。
- 相手方(元の名義人)が亡くなった場合、その相続人との間で所有権を巡るトラブルになる。
- 相手方が借金をし、その不動産が差し押さえられてしまう可能性がある。
こうした将来のトラブルを防ぐためにも、財産分与で不動産を取得した場合は、速やかに名義変更の登記手続きを行うことが不可欠です。
登記手続きの流れと必要書類
不動産の名義変更登記は、一般的に以下の流れで進めます。
- 必要書類の収集:法務局や市役所などで、登記に必要な書類を集めます。
- 登記申請書の作成:法律のルールに従って、登記申請書を作成します。
- 法務局への申請:不動産の所在地を管轄する法務局に、書類一式を提出します。
- 登記完了:法務局の処理状況や書類の不備の有無により異なりますが、概ね数週間から数か月かかる場合があります。正確な処理期間は管轄の法務局で確認してください。
手続きには専門的な知識が必要なため、司法書士にご依頼いただくのが一般的です。ご自身で準備する主な書類は以下の通りですが、事案によって異なりますので、まずはご相談ください。
【不動産を渡す側(登記義務者)】
- 不動産の権利証(または登記識別情報通知)
- 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 実印
【不動産をもらう側(登記権利者)】
- 住民票
- 認印
【その他】
- 固定資産評価証明書
- 離婚の事実がわかる戸籍謄本
- 財産分与の合意がわかる書類(離婚協議書など)
参考:不動産登記及び商業・法人登記の申請書様式一覧 – 法務局(出典:法務局ウェブサイト、参照日:2025-12-05。最新の情報は法務省等で確認してください。)
登記にかかる費用と税金のすべて

不動産の財産分与で気になるのが、費用や税金のことだと思います。主に必要となるのは以下の通りです。
① 登録免許税(国に納める税金)
登記手続きの際に必ずかかる税金です。税額は以下の計算式で算出されます。
固定資産税評価額 × 2%(100分の2)
例えば、評価額が1,500万円の不動産であれば、30万円の登録免許税がかかります。財産分与による所有権移転登記の場合、一般的には固定資産税評価額の2%(1000分の20)が適用されます(国税庁の登録免許税表参照)。ただし、登記原因や法改正等で税率が異なる場合があるため、申請前に法務局や税務当局で確認してください。
② 司法書士報酬
登記手続きを司法書士に依頼した場合の報酬です。事務所によって異なりますが、数万円から10万円程度が目安となります。当事務所の司法書士報酬は事案ごとに異なります。詳細は事前の無料相談・見積りでご提示します。
③ その他実費
住民票や固定資産評価証明書などの取得費用、郵送費などがかかります。
【財産分与で問題となるその他の税金】
- 贈与税:一般に財産分与は清算的な性質を有するため贈与税は課されませんが、分与の内容が通常想定される分与の範囲を著しく超える場合などは税務上贈与と判断され得ます。最終的な課税判断は税務署等の判断によるため、税理士や所轄の税務署にご確認ください。
- 譲渡所得税:不動産を渡す側に課税される可能性のある税金です。分与した不動産の価値が、取得した時よりも値上がりしている場合に、その値上がり益(譲渡所得)に対して課税されることがあります。
税金に関しては非常に専門的な判断が必要となりますので、ご心配な点があれば税理士などの専門家にご相談ください。
財産分与の合意後に注意すべき3つのポイント
無事に話し合いがまとまり、一安心…といきたいところですが、手続きを完全に終えるまでには、いくつか注意すべき点があります。将来のトラブルを避けるために、以下の3つのポイントを必ず押さえておきましょう。
ポイント1:口約束は危険!必ず公正証書を作成する
繰り返しになりますが、金銭の分割払いや養育費の支払いなど、将来にわたる約束事がある場合は、金銭の分割払いや養育費の取り決めがある場合、強制執行認諾文言を付した公正証書を作成することが有効な手段となります。各事情に応じて専門家と相談の上で適切な方法を選択してください。
ポイント2:不動産登記は離婚届の提出後に
手続きの順番は非常に重要です。特に不動産の名義変更は、必ず「離婚届を提出した後」に行ってください。
もし離婚が成立する前に名義変更をしてしまうと、税務上、それは「財産分与」ではなく夫婦間の「贈与」とみなされてしまう可能性があります。その場合、高額な贈与税や不動産取得税が課せられるリスクがあります。焦って手続きを進めて損をすることがないよう、「離婚成立 → 登記申請」という正しい順番を覚えておきましょう。
ポイント3:相手が財産を隠していたことが発覚したら?
離婚時には知らされていなかった財산(隠し財産)が、離婚後に発覚するケースも残念ながら存在します。もし、相手方が意図的に財産を隠していたことが明らかになった場合、改めてその財産についての分与を請求できる可能性があります。
ただし、そのためには相手が財産を隠していたことを証明する証拠が必要になります。このようなトラブルに直面した場合は、一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。状況に応じた適切な対処法を一緒に考えさせていただきます。
財産分与の手続きは専門家への相談が安心|司法書士の役割
ここまで財産分与の手続きについて解説してきましたが、多くの専門的な知識が必要となることがお分かりいただけたかと思います。特に不動産が関わる場合は、手続きがさらに複雑になります。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることで、精神的な負担を大きく減らし、正確かつスムーズに手続きを完了させることができます。
もしお困りでしたら、財産分与に関する無料相談はこちらから当事務所へお気軽にご連絡ください。
司法書士と弁護士、どちらに相談すべき?
「この問題は、司法書士と弁護士のどちらに相談すればいいの?」と迷われる方もいらっしゃるかもしれません。両者の役割には違いがあります。
- 弁護士:相手方との交渉や、調停・審判での代理人となることができます。財産の分け方で揉めている、相手と直接話したくない、といった場合に頼りになります。
- 司法書士:当事者間で合意した内容に基づき、離婚協議書や公正証書の作成をサポートしたり、不動産の名義変更登記手続きを代理したりする専門家です。
この記事を読んでくださっている方のように、当事務所では、合意に基づく不動産の所有権移転登記の代理や、離婚協議書・公正証書作成のサポートを行っています。
横浜・川崎エリアなら、えなみ司法書士事務所へご相談ください
私たち、えなみ司法書士事務所は、横浜市・川崎市にお住まいの皆様の、新しい一歩を法務手続きの面から全力でサポートいたします。
当事務所では、お客様のご負担を少しでも軽くするため、以下の方針で業務を行っております。
- 訪問によるご相談:原則として横浜・川崎市内を対象に、ご自宅やご指定の場所へ伺います(事前予約制)。
- 柔軟な対応時間:事前にご予約いただければ、土日祝日や夜間(21時まで)のご相談にも対応可能です。
- 明確な費用説明:ご依頼いただく前に、必ず総額でのお見積りを提示いたします。
離婚後の大切な手続きを、安心して、そして確実に行うために。まずはお話をお聞かせください。あなたの新しいスタートを、私たちがしっかりと支えます。
事務所名:えなみ司法書士事務所
所在地:〒220-0004 横浜市西区北幸1丁目11番1号 水信ビル7階
司法書士:榎並 慶太(神奈川県司法書士会所属 第2554号)

神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
相続手続きや商業登記を通じて、「いつでも相談できて、いつでも来てもらえる」存在でありたいという思いから、無料の訪問面談を実施しております。また、平日はお仕事のため面談の時間が取れないお客様のご要望にお応えするため、平日・土日祝日、21時まで対応可能です。
安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧にお手伝いします。どうぞお気軽にご連絡ください。
