支店登記は法改正でどう変わった?手続き・費用を司法書士が解説

このページの目次

【結論】支店登記は廃止されていません!法改正のポイントを解説

「令和4年の法改正で、支店登記は廃止されたって本当?」最近、会社の経営者様や総務担当者様から、このようなご質問をいただく機会が増えました。情報が錯綜し、混乱されている方も少なくないのではないでしょうか。

まず結論から申し上げますと、支店登記の制度は廃止されていません。しかし、手続きが大幅に簡略化された、というのが正確なところです。

2022年(令和4年)9月1日に施行された商業登記規則の改正により、これまで必要だった「支店の所在地を管轄する法務局」への登記申請が不要になりました。つまり、これからは本店の所在地を管轄する法務局に申請するだけで、すべての手続きが完了するようになったのです。

支店登記の法改正による変更点を比較した図解。改正前は2つの法務局への申請と69,000円の費用が必要だったが、改正後は1つの法務局への申請と60,000円の費用で済むようになったことが示されている。

この法改正のポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 手続きの簡略化:これまで本店と支店の2ヶ所の法務局へ必要だった申請が、本店1ヶ所のみで完結するようになりました。
  • 費用の削減:支店所在地での登記申請が不要になったため、支店所在地での申請に伴う負担がなくなりました。
  • 対象となる手続き:この簡略化は、支店の設置だけでなく、支店の移転や廃止の登記にも適用されます。

これまで二度手間だった手続きが一本化され、時間的にも金銭的にも負担が軽くなった、というのが今回の法改正の核心です。この記事では、法改正で具体的に何がどう変わったのか、最新の手続きの流れや費用、そして支店登記そのもののメリット・デメリットまで、わかりやすく解説していきます。会社経営に関わる商業登記全体像を把握する上でも重要なポイントですので、ぜひ最後までご覧ください。

参照:法務省:商業登記規則等が改正され、令和4年9月1日から施行されます

法改正で支店登記の手続きと費用はどう変わった?【改正前後で比較】

今回の法改正が、具体的にどれほどのメリットをもたらしたのか、改正前の手続きと比較してみると一目瞭然です。申請者の手間と費用がどれだけ削減されたのか、具体的に見ていきましょう。

手続き:二重申請が不要になり、本店所在地のみで完結

法改正の最も大きな変更点は、手続きの簡略化です。

【改正前の手続き】以前は、まず本店所在地を管轄する法務局に支店設置の登記を申請し、その登記が完了したら、次に支店所在地を管轄する法務局にも同じ内容の登記を申請する必要がありました。いわば「二重申請」が必須だったのです。これにより、2つの法務局とやり取りをする手間や、完了までに時間がかかるという課題がありました。

【改正後の手続き】2022年9月1日以降は、本店所在地を管轄する法務局に支店設置の登記を申請するだけで、手続きはすべて完了します。本店での登記が完了すると、法務局のシステムを通じて支店所在地の登記簿にもその内容が自動的に反映される仕組みになったため、申請者側で支店所在地の法務局へ何かをする必要は一切なくなりました。

これにより、申請の手間が半分になり、登記完了までの時間も短縮されるという大きなメリットが生まれました。

費用:支店設置登記の登録免許税は1箇所につき60,000円

手続きが簡略化されたことに伴い、費用面でもメリットが生まれました。登記を申請する際には、登録免許税という税金を納める必要がありますが、この金額が変わったのです。

【改正前の登録免許税】

  • 支店設置登記(支店1箇所あたり):60,000円

【改正後の登録免許税】

  • 支店設置登記(支店1箇所あたり):60,000円

このように、支店所在地の法務局への申請が不要になったことで、登録免許税9,000円がまるごと節約できるようになりました。会社の減資の登記など、他の登記手続きと同様に、コスト意識は非常に重要です。わずかな金額に思えるかもしれませんが、地味に嬉しい変更点と言えるでしょう。司法書士に依頼する場合も、この二重申請がなくなった分、報酬が以前より少し抑えられる可能性があります。

【2026年最新版】支店設置登記の具体的な手続きと必要書類

それでは、法改正後の最新情報に基づき、実際に支店を設置する際の具体的な手続きの流れを3つのステップで見ていきましょう。初めての方でもご理解いただけるよう、わかりやすく解説します。

支店設置登記の具体的な手続きの流れを示す図解。ステップ1「社内での決議」、ステップ2「必要書類の準備」、ステップ3「法務局へ申請」という3つの手順が順番に示されている。

ステップ1:取締役会等での支店設置の決議

まず最初に行うのは、社内での意思決定です。どこに、いつ支店を設置するのかを正式に決定します。

  • 取締役会を設置している会社の場合:
    取締役会を招集し、支店の設置について決議します。決議では、「支店の具体的な所在地」「設置する年月日」を明確に定めます。
  • 取締役会を設置していない会社の場合:
    取締役の過半数の一致によって決定します。この場合も同様に、所在地と設置日を定めた決定書を作成します。

この決議内容を証明する「取締役会議事録」や「取締役の決定書」は、後の登記申請で必須となる重要な書類です。会社の役員変更登記など、他の重要な決定と同様に、法的に有効な形で記録を残しておくことが大切です。

ステップ2:登記申請に必要な書類の準備

社内での決定が終わったら、法務局へ提出する書類を準備します。主に必要となるのは以下の書類です。

  • 株式会社支店設置登記申請書:
    法務局のウェブサイトで書式や記載例が公開されています。登録免許税として6万円分の収入印紙を貼付します。
  • 取締役会議事録(または取締役の決定書):
    ステップ1で作成したものです。決議内容が正しく記載されているか確認しましょう。
  • 委任状:
    司法書士など代理人に申請を依頼する場合に必要です。

書類の作成には、会社の実印(法務局へ届出ている印鑑)の押印が必要な箇所もありますので、不備がないよう注意深く準備を進めることが重要です。

ステップ3:本店所在地の法務局へ登記申請

書類がすべて整ったら、本店所在地を管轄する法務局へ登記申請を行います。ここで最も注意すべきなのが申請期限です。

支店設置の登記は、実際に支店を設置した日から2週間以内に行わなければならないと法律で定められています。この期限を過ぎてしまうと、後述する過料の対象となる可能性がありますので、計画的に進めましょう。

申請方法は、法務局の窓口へ直接持参するほか、郵送やオンライン(登記・供託オンライン申請システム)でも可能です。申請後、書類に大きな不備がなければ、登記完了までの期間は1~2週間程度になることがあります(法務局の処理状況等により前後します)。

支店登記をしないとどうなる?メリット・デメリットと罰則

手続きが簡略化されたとはいえ、費用も手間もゼロではありません。「そもそも、うちの会社に支店登記は本当に必要なのだろうか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。ここでは、登記するメリットと、しない場合のデメリット(リスク)を比較し、判断のヒントを司法書士の視点からお伝えします。

支店登記のメリット:社会的信用の向上と事業機会の拡大

支店登記を行うことの最大のメリットは、対外的な信用の向上です。登記事項証明書(登記簿謄本)に支店の存在が公的に記載されることで、しっかりとした事業拠点があることを証明できます。

  • 金融機関からの融資:事業拡大のための融資を受ける際に、支店の存在がプラスに評価されることがあります。
  • 大手企業との取引:取引先の与信審査において、登記された支店があることは信頼性の証となります。
  • 契約や口座開設:支店名義での契約締結や、銀行口座の開設が可能になり、事業運営がスムーズになります。
  • 公共事業の入札:自治体によっては、その地域に登記された支店があることが公共事業の入札参加資格の条件となっている場合があります。

このように、支店登記は単なる手続きではなく、会社の信用力を高め、ビジネスチャンスを広げるための重要な経営戦略の一つとなり得るのです。

支店登記のデメリットと「営業所」との違い

一方で、支店登記にはいくつかの負担も伴います。

  • コスト:設置時に登録免許税6万円がかかります。また、司法書士に依頼すればその報酬も必要です。
  • 移転・廃止時の手続き:一度登記した支店を移転したり、廃止したりする際にも、その都度、登記申請と登録免許税(各3万円)が必要になります。

ここで重要なのが、登記が必要となる「支店」と、社内呼称としての「営業所」「事業所」の違いです。法務省も、本店所在地における支店の設置・移転・廃止等の登記が引き続き必要である旨を案内しています。一方で、営業所・事業所として運営する場合は、会社の運用形態によっては必ずしも支店として登記しない選択肢も考えられます。

もし、支店名義での契約や口座開設の必要がなく、単なる営業拠点や連絡事務所として機能させるのであれば、あえて登記をせず「営業所」として運営するという選択肢も十分に考えられます。自社の事業内容や将来の展望に合わせて、どちらの形態が最適か検討することが大切です。

登記を怠った場合の罰則:100万円以下の過料のリスク

もし、支店としての実態があるにもかかわらず、設置から2週間以内に登記申請を怠った場合、どうなるのでしょうか。

会社法第976条では、登記を怠った場合、会社の代表者個人に対して100万円以下の過料に処せられる可能性があると定められています。

「すぐに罰則を受けることはないだろう」と安易に考えてはいけません。実際には、期限を少し過ぎただけですぐに過料が科されるケースは稀ですが、法律上の義務違反であることに変わりはありません。長期間放置すれば、裁判所から通知が届くリスクは高まります。コンプライアンス遵守の観点からも、登記は期限内に正しく行うべきです。登記懈怠は、会社の各種届出について税理士や社会保険労務士に確認することをおすすめします。

支店登記の費用を節約するには?自分でやる方法と専門家への依頼

経営者の方にとって、コストは常に重要な関心事でしょう。支店登記の費用をできるだけ抑えたい場合、どのような選択肢があるのでしょうか。「自分で手続きを行う場合」と「司法書士に依頼する場合」を比較してみましょう。

自分で登記申請する場合:費用は登録免許税6万円のみ

ご自身で手続きを行う最大のメリットは、専門家への報酬がかからないことです。費用は、法務局に納める登録免許税6万円と、書類の郵送代などの実費だけで済みます。

ただし、メリットばかりではありません。登記申請書の作成や取締役会議事録の準備など、法律のルールに沿って正確な書類を作成する必要があります。もし書類に不備があれば、法務局から補正(修正)の指示があり、何度もやり取りをするうちに時間がかかってしまうことも少なくありません。最悪の場合、大切な申請期限である「2週間」を過ぎてしまうリスクも考えられます。

法務局のウェブサイトや書籍で調べながら進める時間的な余裕があり、書類作成に慣れている方であれば、ご自身での申請も一つの選択肢です。

司法書士がクライアントに支店登記について説明している相談風景。専門家に依頼することで安心して手続きを進められることを示唆している。

司法書士に依頼する場合:報酬相場と依頼するメリット

司法書士に依頼する最大のメリットは、「時間」と「安心」を手に入れられることです。

  • 正確・迅速な手続き:専門家が法令に沿って書類作成と申請を代行することで、不備や手戻りのリスクを抑え、手続きを円滑に進めやすくなります。
  • 本業への集中:書類の作成方法を調べたり、法務局とやり取りしたりする煩雑な作業から解放され、経営者様やご担当者様は本来の業務に集中できます。

気になる司法書士への報酬ですが、支店設置登記の場合、一般的な相場は3万円~5万円程度です。これに登録免許税6万円を加えた、総額9万円~11万円程度が目安となります。

会社の増資の登記などと同様に、重要な手続きを専門家に任せることで、結果的に時間的・精神的なコストを削減できるという考え方もあります。ご自身の状況に合わせて、最適な方法をご検討ください。

当事務所での具体的な費用については、お気軽にお問い合わせください。
支店登記のご相談・お見積り(お問い合わせフォーム)

支店登記に関するよくあるご質問

最後に、支店登記に関して実務上よくお受けするご質問とその回答をまとめました。

Q. 法改正前に登記した支店について、何か手続きは必要ですか?

A. いいえ、特別な手続きは何も必要ありません。
2022年9月1日の法改正以前に登記されていた支店については、支店所在地の登記記録は登記官の職権によって閉鎖処理がされています。会社側で何か手続きをする必要はありませんのでご安心ください。

Q. 支店を移転・廃止する場合の手続きも簡略化されましたか?

A. はい、支店の設置と同様に簡略化されました。
支店の所在地を移転する場合や、支店そのものを廃止する場合の手続きも、法改正によって本店所在地の法務局への申請のみで完結するようになりました。なお、登録免許税は、支店移転・支店廃止ともにそれぞれ30,000円です。これらの手続きも、役員変更登記などと同様に、変更があった日から2週間以内の申請が必要です。

Q. 登記が完了したら、税務署などへの届出は必要ですか?

A. はい、必要になる場合があります。
法務局への登記手続きとは別に、税務や社会保険に関する手続きが必要です。支店を設置して事業を開始した場合、その支店の所在地を管轄する税務署、都道府県税事務所、市町村役場へ「法人設立・設置届出書」などの書類を提出する必要があります。また、従業員を雇用する場合は、年金事務所や労働基準監督署などへの手続きも発生します。登記が完了したら終わりではない、という点は覚えておきましょう。どのような届出が必要か不明な場合は、会社の各種届出について税理士や社会保険労務士に確認することをおすすめします。

まとめ:支店登記は専門家への相談が安心です

今回は、2022年9月1日の法改正による支店登記の変更点について解説しました。

ポイントを改めておさらいします。

  • 支店登記制度は廃止されておらず、手続きが簡略化された。
  • 申請は本店所在地の法務局のみで完結し、二重申請は不要になった。
  • 支店設置登記の登録免許税は、支店1箇所につき60,000円
  • 支店設置から2週間以内に登記しないと、過料の対象となるリスクがある。

手続きはシンプルになったとはいえ、支店登記は会社の信用や事業展開に関わる重要な手続きであることに変わりはありません。期限内に、正確な書類を作成して申請する必要があります。

「書類の作成に自信がない」「忙しくて手続きを進める時間がない」「本業に集中したい」
このようにお考えでしたら、ぜひ一度、登記の専門家である司法書士にご相談ください。えなみ司法書士事務所では、お客様の状況を丁寧にお伺いし、最適なサポートをご提供いたします。初回のご相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

支店登記のお問い合わせ(相談予約フォーム)

keyboard_arrow_up

0452987602 問い合わせバナー 専門家による無料相談