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「連絡が取れない相続人」にお困りではありませんか?
「亡くなった親の遺産について、他の相続人と話し合いたいのに、一人だけどうしても連絡が取れない…」「昔から疎遠だった兄弟に手紙を送っても、返事すらもらえず無視されている」「相続人の一人がどこで何をしているのか、全くわからない」
大切なご家族を亡くされた悲しみの中、遺産分割という大きな手続きを進めなければならないだけでも大変な負担です。それに加えて、一部の相続人と連絡が取れない、あるいは協力を拒否されるといった事態に直面すると、途方に暮れ、お一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
しかし、ご安心ください。このような状況は、決して珍しいことではありません。そして、法律には、このような困難な状況を乗り越えるための正式な手続きがきちんと用意されています。
この記事では、相続手続きを専門とする司法書士が、連絡が取れない相続人がいる場合の遺産分割について、状況別の具体的な解決策を分かりやすく解説します。読み終える頃には、ご自身の状況で次に何をすべきかが明確になり、問題解決への第一歩を踏み出せるはずです。
大原則:相続人全員の参加なくして遺産分割協議はできない
まず、相続手続きにおける最も重要な大原則からお伝えします。それは、遺産分割協議は、必ず相続人全員の参加のもとで行わなければならないということです。
「面倒だから」「どうせ反対するだろうから」といった理由で、連絡が取れない相続人を除外して協議を進め、遺産分割協議書を作成しても、その協議は法的に無効となります。無効な協議書では、以下のような手続きが一切進められません。
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 預貯金の解約・払い戻し
- 株式などの有価証券の名義変更
- (注意)相続税の申告は遺産分割が未了でも期限までに必要です(未分割として法定相続分等で申告し、分割後に更正の請求等で調整することがあります)。
つまり、連絡が取れない相続人を無視して手続きを進めようとすることは、時間と労力を無駄にするだけでなく、さらなるトラブルの原因になりかねません。遠回りに思えても、まずは法的なルールに則って、一人ひとりの相続人と向き合うことが、解決への最も確実な道筋となります。
あなたの状況はどれ?3つのケース別・解決へのロードマップ
「相続人全員の参加が必要なのは分かったけれど、具体的にどうすれば…?」という疑問にお答えするため、ここからは状況を3つの典型的なケースに分けて、それぞれの解決策を解説します。ご自身の状況がどれに当てはまるかを確認し、読み進めてみてください。

ケース1:疎遠で「連絡先がわからない」
過去に交流があったものの、現在は住所や電話番号がわからなくなってしまった、というケースです。この場合、まずはその相続人の現在の住民票上の住所を特定することから始めます。
もちろん、他の親族に心当たりを尋ねてみるのも一つの方法ですが、一般的には、戸籍や戸籍の附票等を確認して住所情報をたどる方法が有力です(状況により特定できない場合もあります)。
具体的には、まず亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取得し、相続人を確定させます。その後、連絡を取りたい相続人の戸籍謄本を取得し、さらにその戸籍に紐づく「戸籍の附票(ふひょう)」という書類を取得します。戸籍の附票には住所の履歴が記載されているため、手掛かりとして現住所の確認につながることがあります(状況により特定できない場合もあります)。
これらの戸籍収集はご自身でも可能ですが、複数の役所を跨ぐことも多く、非常に手間と時間がかかります。司法書士が受任し、正当な業務目的・必要性が認められる範囲で、職務上請求により戸籍等の収集を行い、住所情報の調査を進めることが可能です(取得可否・特定可否は事情により異なります)。
ケース2:連絡は取れるが「無視・拒否される」
住所はわかっており、手紙を送るなど連絡はできるものの、返信がない、あるいは明確に遺産分割協議への参加を拒否されている、というケースです。これは、当事者間の感情的な対立も絡むことが多く、精神的なご負担が最も大きい状況かもしれません。
このような場合、感情的に何度も連絡を取ろうとすると、かえって相手の態度を硬化させてしまう可能性があります。そこで有効となるのが、家庭裁判所を利用した「遺産分割調停」という手続きです。
遺産分割調停とは、裁判官と民間の有識者からなる調停委員が間に入り、相続人全員から公平に話を聞きながら、話し合いによる円満な解決を目指す手続きです。当事者同士では冷静な対話が難しくても、中立的な第三者が関わることで、お互いが譲歩し、合意に至るケースは少なくありません。詳しくは遺産分割調停 | 裁判所のウェブサイトもご参照ください。
もし調停でも話がまとまらない場合は、自動的に「遺産分割審判」という手続きに移行し、裁判官が一切の事情を考慮して、遺産の分け方を法的に決定します。これにより、相手の協力が得られなくても、遺産分割を最終的に確定させることが可能です。
ケース3:生死も不明で「完全に行方不明」
住所調査をしても見つからず、長年にわたって音信不通で、生きているかどうかさえ定かではない、というケースです。この場合は、行方不明の相続人に代わって遺産分割協議に参加する代理人を選任する必要があります。
そのための手続きが、家庭裁判所への「不在者財産管理人」の選任申立てです。不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理し、家庭裁判所の許可を得て、その人に代わって遺産分割協議などの法律行為を行う権限を持つ人のことです。詳しくは不在者財産管理人選任 | 裁判所のウェブサイトもご参照ください。
この不在者財産管理人が選任されれば、その人が行方不明の相続人の代理人として遺産分割協議に参加するため、手続きを進めることができます。不在者財産管理人は不在者の利益を害しないように財産を管理・保存し、家庭裁判所の許可を得て遺産分割等に関与します。分割方法や管理の扱いは、事情と裁判所の判断により異なります。
なお、行方不明になってから7年以上が経過している場合は、「失踪宣告」の申立てという選択肢もあります。失踪宣告が認められると、その人は法律上死亡したとみなされ、遺産分割協議に参加する必要がなくなります。どちらの手続きが適切かは、状況によって異なりますので、専門家への相談をおすすめします。
司法書士があなたの「次の一歩」を具体的にサポートします

ここまで読んで、「手続きが複雑で自分だけでは難しそう…」と感じられたかもしれません。まさに、このような複雑な相続問題こそ、私たち司法書士が専門家としてお力になれる場面です。
えなみ司法書士事務所では、横浜市・川崎市を中心に、相続でお困りの方々へ「ご安心」をお届けすることを第一に考えております。初回のご相談は無料ですので、まずはお気軽にお話をお聞かせください。
相続人調査から裁判所への書類作成まで一括サポート
連絡が取れない相続人がいる場合の手続きは、多岐にわたります。当事務所にご依頼いただければ、以下のような煩雑な手続きをまとめて代行し、皆様のご負担を大幅に軽減いたします。
- 戸籍謄本等の収集による相続人調査・確定
- 正確な相続関係説明図の作成
- 他の相続人への連絡文書の作成・発送、手続案内の窓口(紛争性のある交渉・代理は事案により弁護士対応となります)
- 遺産分割調停の申立書作成
- 不在者財産管理人選任の申立書作成
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産の相続登記(名義変更)
これらの手続きには、専門的な知識と正確性が求められます。一つ一つのステップを、専門家である司法書士が責任を持ってサポートいたします。
相手の感情に配慮した円満な解決を目指すアプローチ
当事務所が大切にしているのは、単なる手続きの代行ではありません。可能な限り、円満な解決を目指すためのアプローチです。
特に、連絡を無視・拒否している相続人に対しては、いきなり法的な手続きを進めるのではなく、まずは司法書士という第三者の専門家から、丁寧な手紙をお送りすることを検討することがあります。
ご親族からの連絡には感情的に反応してしまう方でも、司法書士からの連絡により、事情によっては相手方が状況を整理し、話合いに応じるきっかけになる場合があります。実際に、私が司法書士としてお手紙を作成し、送付したことで、それまで全く返事がなかった方から連絡があり、無事に協議がまとまったという経験は少なくありません。
高圧的な態度ではなく、相手の感情にも配慮しながら、粘り強く対話の糸口を探っていく。それもまた、私たち専門家の重要な役割だと考えています。
もし、どのように連絡を取ればよいか、何から手をつければよいか分からずお困りでしたら、ぜひ一度当事務所にご相談ください。平日はもちろん、土日祝日も21時まで対応しており、ご自宅などへの無料訪問面談も実施しております。まずは無料相談でお話をお聞かせください
まとめ:一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください
遺産分割協議を進める中で、一部の相続人と連絡が取れないという問題は、精神的にも時間的にも大きな負担となります。しかし、この記事で解説したように、法的な手続きを踏むことで、解決に向けて前進できる可能性があります。
重要なポイントを振り返ります。
- 遺産分割協議は、相続人全員の参加が絶対条件です。
- 状況に応じて、「住所調査」「遺産分割調停」「不在者財産管理人選任」といった適切な手続きを選択する必要があります。
- これらの複雑な手続きは、専門家である司法書士に任せることで、スムーズかつ確実に進めることができます。
最も大切なことは、この問題を一人で抱え込まないことです。不安な気持ちのまま時間だけが過ぎてしまうと、相続税の申告期限などの問題も生じかねません。
えなみ司法書士事務所は、いつでも相談できる、皆様に一番近い法律の専門家でありたいと願っています。最初の一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきますので、どうぞお気軽にご連絡ください。

神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
相続手続きや商業登記を通じて、「いつでも相談できて、いつでも来てもらえる」存在でありたいという思いから、無料の訪問面談を実施しております。また、平日はお仕事のため面談の時間が取れないお客様のご要望にお応えするため、平日・土日祝日、21時まで対応可能です。
安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧にお手伝いします。どうぞお気軽にご連絡ください。
