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法務局への印鑑届、あなたの会社は必要?不要?
会社の登記手続きを進める中で、「法務局への印鑑届」という言葉を目にし、ご自身の会社は手続きが必要なのか、それとも不要なのか、判断に迷われていないでしょうか。特に、会社設立や役員変更といった重要な局面では、手続きに漏れがないか不安に感じられる方も少なくありません。
この記事では、会社の代表者や総務・経理ご担当者様が抱える印鑑届に関する疑問を解消するため、司法書士が専門家の視点から分かりやすく解説します。
どのような場合に印鑑届が必要・不要になるのか、具体的な手続きの流れ、必要書類、そして印鑑カードを紛失してしまった際の対処法まで、網羅的にご説明します。この記事を最後までお読みいただければ、ご自身の状況に合わせて何をすべきかが明確になり、安心して手続きを進められるようになるはずです。

まずはチェック!印鑑届が必要・不要なケース
法務局への印鑑届は、全ての登記手続きで必要になるわけではありません。まずは、ご自身の状況が以下のどのケースに当てはまるかをご確認ください。
印鑑届が【必要】となる主なケース
法律上の義務、または実務上の必要性から、印鑑届の提出が必須となる代表的なケースは以下の通りです。
- 会社の設立登記をするとき
会社を新たに設立する際は、会社の「実印」となる印鑑を法務局に登録する必要があります。設立登記申請と同時に印鑑届出書を提出するのが一般的です。 - 代表者を変更(交代)するとき
代表取締役が交代した場合、新しい代表者が会社の代表印を使用するために、その印鑑を法務局に届け出る必要があります。 - 会社の実印を変更するとき
会社の印鑑(実印)を新しく作り替えた場合は、「改印届」として新しい印鑑を登録し直さなければなりません - 印鑑カードを紛失・盗難されたとき
印鑑カードを失くした場合、悪用を防ぐために現在の印鑑カードを廃止し、再発行を受ける手続きが必要です。この際、「印鑑カード廃止届」と「印鑑カード交付申請」を行います。 - 会社の解散登記をするとき
会社の解散後、清算手続きを進める「清算人」が就任します。この清算人が使用する印鑑を届け出る必要があります。
印鑑届が【不要】となる主なケース
一方で、以下のようなケースでは、原則として印鑑届の提出は不要です。勘違いされやすい点ですので、ご確認ください。
- 本店を同じ管轄内で移転するとき
例えば、横浜市西区から横浜市中区へ本店を移転する場合など、管轄する法務局が変わらない移転であれば、改めて印鑑届を提出する必要はありません。 - 本店を管轄外の法務局へ移転するとき 例えば、横浜市西区(横浜地方法務局管轄)から川崎市川崎区(横浜地方法務局川崎支局管轄)へ本店を移転する場合など、法務局の管轄が変わる移転では、移転先の新しい法務局へ改めて印鑑を届け出る必要がありました。しかし、令和7年4月21日(月)から、商業登記規則の一部を改正する省令(令和7年法務省令第10号)が施行され、管轄外の本店移転がされた場合には、旧所在地を管轄する登記所は、当該会社に関する印鑑記録(※1)を新所在地を管轄する登記所へ移送することになり、本店を管轄登記所外に移転しても新所在地を管轄する登記所に印鑑が引き継がれ、当該印鑑の提出があったものとみなされることから、本店移転の登記申請と同時にする新所在地を管轄する登記所への印鑑届書の提出が不要になりました
- 代表者以外の役員(取締役・監査役)を変更するとき
法務局に印鑑を届け出るのは会社の代表者(代表取締役など)です。そのため、代表権のない平取締役や監査役が変更になっても、印鑑届の手続きは不要です。 - 商号(会社名)や事業目的を変更するとき
商号や事業目的の変更登記だけを行う場合、印鑑届は必要ありません。ただし、商号変更に伴って会社の実印も新しい社名のものに変更した場合は、もちろん「改印届」の手続きをした方が良いでしょう。
【状況別】法務局への印鑑届手続き完全ガイド
印鑑届の手続きは、会社の状況によって提出する書類や流れが少し異なります。ここでは、代表的な3つのパターンに分けて、具体的な手続きをステップ・バイ・ステップで解説します。
パターン1:会社設立時の新規届出
会社を設立する際に必ず行う、最初の印鑑登録手続きです。
- 手続きのタイミング:原則として、会社設立の登記申請と同時に行います。
- 提出先:設立する会社の本店所在地を管轄する法務局
- 主な必要書類:
- 印鑑届出書
- 登録する会社の代表者印
- 発起人(設立時代表取締役)個人の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
印鑑届出書は、法務局の窓口で入手するか、Webサイトからダウンロードできます。記載する際は、商号や本店所在地、代表者の氏名・住所などを正確に記入し、登録する会社の実印と、届出人である代表者個人の実印をそれぞれ押印します。

参考:登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書及び印鑑カード交付申請書等の様式について – 法務局
パターン2:代表者・会社実印の変更(改印)
代表者が交代した場合や、会社の実印を新しくした場合に行う手続きです。「改印届」とも呼ばれます。
- 手続きのタイミング:代表者変更の登記申請と同時、または印鑑を変更した後すみやかに行います。
- 提出先:会社の本店所在地を管轄する法務局
- 主な必要書類::
- 印鑑(改印)届書
- 新しく登録する会社の代表者印
- 新しい代表者個人の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- (お持ちの場合)今までの印鑑カード
手続きの流れは新規届出と似ていますが、届出書には以前に届け出ていた印鑑(旧印鑑)に関する情報も記載します。もし、新代表者が個人の印鑑証明書を添付できない事情がある場合は、登記所に印鑑を届け出ている他の会社の代表者や、弁護士・司法書士が保証人となる「保証書」を添付する方法もあります。
パターン3:印鑑カードの紛失・再発行
会社の印鑑証明書を取得するために不可欠な「印鑑カード」を紛失してしまった場合、悪用を防ぐためにも迅速な対応が必要です。多くの方が焦ってしまう状況ですが、落ち着いて以下の手順で進めましょう。
- ステップ1:現在の印鑑カードを無効にする
まず、「印鑑カード廃止届書」を法務局に提出します。これにより、紛失した印鑑カードがもし第三者の手に渡っても、不正に印鑑証明書を取得されるリスクを防ぎます。 - ステップ2:新しい印鑑カードの交付を申請する
次に、「印鑑カード交付申請書」を提出し、新しいカードを発行してもらいます。
【ポイント】
印鑑カードの廃止届と交付申請は同時に行えます。印鑑カードの再交付は窓口の混雑状況や登記所により所要時間が異なり、当日交付される場合もありますが、必ず当日交付されるとは限りません。印鑑カードの交付自体に法務局への手数料は通常かかりません。ただし、印鑑証明書の交付には別途手数料(通数に応じた収入印紙等)がかかりますのでご注意ください。

手続きの前に確認!必要書類と準備のポイント
法務局での手続きをスムーズに進めるためには、事前の準備が重要です。ここで、必要書類と準備のポイントをチェックリスト形式で確認しておきましょう。
必ず準備するものリスト
どのパターンの手続きでも、基本となるのは以下の書類・物品です。
| 準備するもの | ポイント・注意点 |
|---|---|
| 印鑑届出書(または改印届書など) | 法務局の窓口またはWebサイトから入手。 |
| 登録する会社の代表者印 | 代表者印(会社実印)は、商業登記規則により辺の長さが1cmを超え3cm以内の正方形に収まる大きさでなければなりません。 |
| 代表者個人の実印 | 届出書に押印するために必要です。 |
| 代表者個人の印鑑証明書 | 通常、登記申請書や委任状に添付する印鑑証明書は作成後3か月以内のものが求められます(原則)。ただし、添付先の書面の種類や個別の運用によっては例外があるため、管轄の登記所に確認してください。 |
| 印鑑カード | 改印や廃止の手続きの際に必要です。紛失した場合は『印鑑カード廃止届』と『印鑑カード交付申請』を提出して再交付の手続きを行ってください(紛失時にカードは不要、という意味ではありません)。 |
代理人が手続きする場合の追加書類
会社の代表者ご本人が法務局へ行けない場合、従業員の方や我々のような司法書士が代理人として手続きを行うことも可能です。その場合は、追加で以下の準備が必要です。
- 委任状
印鑑届出書の様式内に、代理人の記載欄と委任状の欄が一体となっている部分があります。ここに、代理人の氏名・住所を記入し、会社の実印と代表者個人の実印を押印することで委任状となります。 - 代理人の本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカードなど、窓口で手続きする代理人自身の本人確認書類が必要です。
司法書士に依頼すれば、これらの書類作成から法務局への提出まで一括して代行できるため、代表者様の手間を大幅に削減できます。ご依頼の際は、下記表示事項をご確認ください。
【表示事項】事務所名:えなみ司法書士事務所、住所:〒220-0004 横浜市西区北幸1丁目11番1号 水信ビル7階、担当司法書士氏名:榎並慶太、所属司法書士会:神奈川県司法書士会(第2554号)
法務局の印鑑届に関するよくあるご質問
ここでは、お客様からよく寄せられる印鑑届に関する細かい疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q1. 手続きはどこの法務局でもできますか?
A. いいえ、会社の本店所在地を管轄する法務局で行う必要があります。
例えば、本店が横浜市西区にある会社であれば、横浜地方法務局本局が管轄となります。ご自身の会社の管轄がどこか分からない場合は、法務局のウェブサイトで確認できます。詳しくは管轄のご案内 – 法務局 – 法務省をご確認ください。
ただし、印鑑届の手続き完了後に「印鑑証明書」を取得するだけであれば、全国どこの法務局の窓口でも取得可能です。
Q2. 手続きに費用はかかりますか?
A. 印鑑届の届出自体に手数料はかかりません。
法務局に支払う登録免許税などの費用は不要です。ただし、手続きの際に添付書類として必要となる「代表者個人の印鑑証明書」を取得する際には、市区町村役場で数百円程度の発行手数料がかかります。
Q3. オンラインでも手続きできますか?
A. 現状、印鑑届の手続きは書面での提出が原則です。
商業登記の申請自体はオンラインで行うことができますが、印鑑の登録・変更・廃止に関する手続きは、印鑑そのものを照合する必要があるため、印鑑届出書を法務局の窓口に持参するか、郵送で提出する必要があります。オンラインで登記申請をした場合でも、印鑑届出書は別途、書面で提出することになりますのでご注意ください。
手続きが不安なら司法書士への相談も一つの選択肢
ここまで法務局への印鑑届について解説してきましたが、「自分のケースでどの書類が必要か確信が持てない」「平日に法務局へ行く時間がない」「他の登記手続きとまとめて正確に進めたい」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
会社の登記は、事業の根幹に関わる重要な手続きです。もし少しでもご不安があれば、専門家である司法書士に相談することも有効な選択肢の一つです。司法書士は、商業登記全体像 ~これから会社を始める経営者の皆様へ~を熟知しており、皆様の状況に合わせた最適なサポートを提供できます。

司法書士に依頼する3つのメリット
- 貴重な時間の節約
書類の準備や法務局とのやり取りにかかる時間を大幅に削減できます。経営者様は、本来の事業に集中していただくことが可能です。 - 書類作成・手続きの正確性
専門家が手続きを行うため、書類の不備による手戻り(補正)のリスクがありません。迅速かつ確実に手続きを完了させることができます。 - 精神的な安心感
「これで合っているだろうか?」という不安から解放されます。特に、役員変更や本店移転など、他の登記と同時に行う場合は、手続き全体を任せることで大きな安心感が得られます。
えなみ司法書士事務所の無料相談をご活用ください
えなみ司法書士事務所では、横浜市・川崎市を中心に、会社の登記手続きに関するサポートに力を入れております。印鑑届に関するご相談はもちろん、会社設立や役員変更、本店移転など、商業登記全般について、初回のご相談は無料で承っております。
当事務所は「いつでも相談できる、いつでも来てもらえる」をモットーに、お客様のご自宅や会社への無料訪問面談を実施しております。無料訪問面談は横浜市・川崎市内を対象とし、事前予約制です。また、平日・土日祝日問わず21時まで対応しておりますので、日中お忙しい経営者様でもご都合の良い時間にご相談いただけます(土日祝日のご相談・訪問は、事前のご予約をお願いしております)。
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神奈川県横浜市・川崎市を中心に、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏の皆さまからご相談をいただいております。
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