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所有不動産記録証明書の請求は3ステップで完了!
ご家族が亡くなられ、相続の手続きを進める中で「故人がどこに不動産を持っていたか分からない…」という壁に突き当たっていませんか?そんな時に心強い味方となるのが「所有不動産記録証明書」です。
この証明書を使えば、亡くなった方(被相続人)が日本全国に所有していた不動産を一覧で確認できる可能性があります。手続きが複雑に感じられるかもしれませんが、ご安心ください。請求手続きは、大きく分けて次の3つのステップで完了します。
- 必要書類の準備:ご自身の状況に合わせて、戸籍謄本や本人確認書類などを集めます。
- 請求書の作成:法務局の様式に、誰の不動産を調べたいのか、誰が請求するのかを記入します。
- 法務局への提出:準備した書類を、窓口・郵送・オンラインのいずれかの方法で提出します。
この記事では、相続手続きでこの証明書が必要な方に向けて、司法書士が請求書の具体的な書き方から必要書類、費用まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。この記事を読み終える頃には、ご自身で手続きを進めるための知識がすべて身についているはずです。
なお、所有不動産記録証明制度そのものの目的や注意点といった全体像については、所有不動産記録証明制度とは?専門家が目的や注意点を解説で体系的に解説していますので、併せてご覧ください。
【記入例付】所有不動産記録証明書交付請求書の書き方
それでは、手続きの要となる「所有不動産記録証明書交付請求書」の書き方を解説します。この請求書一枚で、全国の不動産を検索できる非常に便利なものですが、記入方法を間違えると正しく検索されない可能性もあるため、慎重に進めましょう。
請求書の様式は法務局のホームページからダウンロードできます。表面と裏面があり、それぞれ記入する内容が異なります。一つずつ見ていきましょう。

表面:請求者と証明書の通数を記入する
まずは表面です。ここには、「誰が」請求手続きを行うのかを記入します。
- 請求人:法務局で手続きをする方(相続人ご本人や、依頼を受けた司法書士など)の住所・氏名を記入します。連絡先の電話番号も忘れずに記載してください。また、請求書には実印の捺印が必要です。但し、書面請求の場合には後述の運転免許証等の本人確認情報の原本提示により実印の捺印印鑑証明書の提出に代替することが可能となります。書類に不備があった際に、法務局からこの番号に連絡が入ります。
- 証明書の請求通数:通常は「1通」で問題ありません。
- 請求の資格:相続人として請求する場合、「相続人である旨を証明する情報」の欄にチェックを入れます。添付する書類に応じて、「戸籍(除籍)謄本」や「法定相続情報一覧図の写し」など、該当するものにチェックをしましょう。
- 収入印紙貼付欄:手数料分の収入印紙を貼るスペースですが、金額が確定してから貼るのが確実です。この時点ではまだ何も貼らないでおきましょう。
裏面:検索したい人(被相続人)の情報を正確に記入する
次に裏面です。ここが最も重要な部分で、「誰の」不動産を検索したいのかを正確に伝えるための情報を記入します。
検索条件の欄には、亡くなった方(被相続人)の情報を記入します。
- 氏名:被相続人の氏名を戸籍謄本や住民票除票に記載されている通りに正確に記入します。旧字・新字なども間違えないように注意が必要です。
- 最後の住所:被相続人が亡くなった時の住所(住民票除票に記載の住所)を記入します。
ここで、専門家としてのワンポイントアドバイスです。もし被相続人が生前に何度も引っ越しをしていたり、結婚などで姓が変わっていたりする場合、最後の氏名・住所だけでは、過去に所有していた不動産が検索から漏れてしまう可能性があります。
そのような検索漏れを防ぐために、「過去の氏名・住所」も検索条件として追加することをおすすめします。戸籍の附票などを辿って判明した過去の住所や氏名を、この欄にできる限り記入しましょう。これにより、亡くなられた方の不動産を調べる精度が格段に上がります。ただし、検索条件を1つ追加するごとに手数料が加算される点には注意が必要です。
【ケース別】所有不動産記録証明書の請求に必要な書類一覧
次に、請求に必要な書類を確認しましょう。誰が請求するかによって必要書類が異なります。「ご自身(登記名義人本人)」が請求する場合と、「相続人」が請求する場合に分けて解説します。

①登記名義人本人が請求する場合
ご自身の財産を整理する「終活」などの目的で、所有者本人が請求するケースです。必要書類は比較的シンプルです。
- 所有不動産記録証明書交付請求書:上記で書き方を解説した書類です。
- 本人確認書類:以下のいずれかの組み合わせが必要です。
- 印鑑証明書(発行3ヶ月以内などの期限はありません)と実印
- 運転免許証、マイナンバーカード、在留カードなどの顔写真付き公的証明書のコピー(原本還付も可)
もし、過去の氏名や住所で検索をしたい場合は、その氏名・住所の変遷がわかる戸籍謄本や住民票の除票などが追加で必要になります。
②相続人が被相続人の不動産を調べる場合
この記事をお読みの多くの方が、こちらのケースに該当するかと思います。相続人が請求する場合、ご自身が正当な相続人であることを証明するための書類が追加で必要になります。
- 所有不動産記録証明書交付請求書
- 請求者(相続人)の本人確認書類:上記①と同様です。
- 被相続人が亡くなったことがわかる書類:被相続人の死亡の事実が記載された戸籍(除籍)謄本など。
- 請求者が被相続人の相続人であることがわかる書類:被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本や、請求者ご自身の現在の戸籍謄本など、相続関係を証明できる一式が必要です。
戸籍の収集は、相続手続きの中でも特に時間と手間がかかる作業の一つです。もし、すでに「法定相続情報一覧図の写し」を取得している場合は、戸籍謄本一式の代わりにこれを提出できるため、手続きが大幅に簡略化されます。
不動産の調査と並行して、故人の借金調査なども進めておくと、相続全体の財産状況をスムーズに把握できます。
請求にかかる費用は?手数料の計算方法と納付方法
所有不動産記録証明書を取得するには、法務局へ手数料を納める必要があります。手数料は、請求方法や検索条件の数によって変わります。
書面(窓口・郵送)で請求する場合の手数料は、1つの検索条件につき1,600円です。
例えば、被相続人の「最後の住所」と、引っ越し前の「過去の住所」1つの、合計2つの検索条件で請求した場合は、以下のような計算になります。
計算例:1,600円 × 2条件 = 3,200円
この手数料は、「収入印紙」で納付します。収入印紙は、法務局内の印紙販売所や郵便局で購入できます。購入した収入印紙を、請求書の表面にある「収入印紙貼付欄」に貼り付けて提出します。
一つ注意点として、この手数料は調査に対する費用であるため、万が一調査の結果、該当する不動産が一件もなかった場合でも、手数料は返金されません。この点はあらかじめ理解しておきましょう。相続手続き全体でかかる相続登記の費用を考える上でも、こうした実費を把握しておくことは大切です。
申請方法は3種類!窓口・郵送・オンラインの違いと選び方
請求書の準備ができたら、いよいよ法務局へ提出します。申請方法には「窓口」「郵送」「オンライン」の3種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

確実で安心!法務局の窓口で請求する方法
最もオーソドックスな方法が、法務局の窓口に直接出向いて請求する方法です。手続は、法務大臣が指定する登記所で取り扱われるため、事前に取扱登記所を確認のうえ、指定された登記所の窓口を利用します。
- メリット:担当者に直接書類を確認してもらえるため、記入漏れや書類の不備をその場で修正できます。初めて手続きする方や、不安な方に最もおすすめの方法です。
- デメリット:法務局の開庁時間である平日8:30~17:15の間に行く必要があります。
- 持ち物:作成した請求書、必要書類一式、本人確認書類の原本、手数料(収入印紙)
会社の登記などで法務局へ印鑑届を提出する際など、他の用事と合わせて訪問するのも効率的です。
来庁不要!郵送で請求する方法
法務局が遠い方や、平日に時間を取れない方は、郵送で請求することもできます。この方法も、全国どこの法務局に送っても構いません。
- メリット:法務局に行く手間が省けます。
- デメリット:書類に不備があった場合、電話でのやり取りや再郵送が必要になり、時間がかかることがあります。また、証明書を返送してもらうための返信用封筒と切手を同封する必要があります。
- 送付物:請求書、必要書類一式、返信用封筒・切手
封筒の宛名は「〇〇法務局 御中」と記載して送付しましょう。
手数料が最安!オンラインで請求する方法
パソコンの操作に慣れている方であれば、オンラインでの請求が最も便利で手数料も安くなります。
- メリット:手数料が最も安い(窓口交付の場合1,470円)。月曜日から金曜日まで(祝日・年末年始除く)8:30~21:00の間に、自宅のPCから申請できます。
- デメリット:マイナンバーカードと、それを読み取るためのICカードリーダライタが必要です。また、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」の専用ソフトをインストールし、操作に慣れる必要があります。
手順としては、申請者情報の登録、請求情報の入力、電子署名の付与、手数料の電子納付(インターネットバンキング等)という流れになります。
請求から発行までにかかる期間
横浜地方法務局(馬車道にある本局)では、発行まで約1週間かかるようです(確認済み)。
司法書士への代理請求を検討すべきケースとは?
ここまでご自身で手続きする方法を解説してきましたが、「戸籍を集めるのが大変そう」「検索漏れがないか心配」「平日に動く時間がない」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合は、私たち司法書士に代理請求をご依頼いただくという選択肢もあります。
司法書士に依頼する主なメリットは以下の3つです。
- 複雑な戸籍収集から任せられる:相続手続きの第一関門である、面倒な戸籍謄本の一式収集から代行します。
- 検索漏れのリスクを最小限にできる:専門家の視点で戸籍の附票などを読み解き、必要な検索条件を洗い出すことで、調査の精度を高めます。
- 相続登記までワンストップで依頼できる:証明書を取得して不動産が判明した後、その後の相続登記手続きまでスムーズに移行できます。
特に、「相続人の数が多くて関係が複雑」「被相続人が何度も転居や結婚を繰り返している」「仕事が忙しく、自分で手続きを進める時間が全くない」といったケースでは、専門家に任せる方が、結果的に時間的・精神的な負担を大きく軽減できる可能性があります。
代理請求に必要な委任状の書き方と注意点
司法書士などの代理人に請求を依頼する場合、「委任状」が必要になります。委任状には、以下の項目を記載します。
- 委任者(あなた)の住所・氏名
- 受任者(司法書士)の住所・氏名・事務所名
- 委任事項:「所有不動産記録証明書の交付請求及び受領に関する一切の件」といったように、何を依頼するのかを具体的に記載します。
- 作成年月日
そして、最も重要な注意点が押印です。この委任状には、委任者ご本人の実印を押印し、印鑑証明書(発行後3ヶ月以内などの期限はありません)を添付する必要があります。認印では手続きができませんので、ご注意ください。
証明書取得はゴールじゃない!次に行うべき2つのこと
無事に所有不動産記録証明書を取得できたとしても、それで相続手続きが終わったわけではありません。むしろ、ここからが本番です。証明書の取得は、あくまで相続財産を確定させるための第一歩に過ぎません。
次に行うべきことは、大きく分けて2つあります。
- 証明書の内容を基に財産目録を作成する
証明書に記載された不動産の情報(所在、地番、家屋番号など)を正確にリストアップし、預貯金や有価証券など他の財産と合わせて「財産目録」を作成します。これにより、相続財産全体の状況が明確になります。 - 判明した不動産について相続登記を申請する
判明した不動産を誰が相続するのかを遺産分割協議で決定し、法務局に名義変更の申請(相続登記)を行います。2024年4月1日から相続登記の義務化がスタートしており、相続の開始を知った時から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
所有不動産記録証明書の請求から、その後の相続登記まで、一連の手続きには専門的な知識が求められる場面が少なくありません。もし手続きの進め方で少しでもご不安な点があれば、一人で抱え込まず、ぜひ専門家にご相談ください。

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