不動産登記の国籍記入義務化|影響と必要書類を司法書士が解説

【2026年施行方針】不動産登記の国籍記入、何が変わる?

「不動産を登記するときに、国籍も書かなければいけなくなるらしい」
最近、このようなニュースを目にして、ご自身の不動産取引や相続手続きにどのような影響があるのか、不安に感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、2026年度(令和8年度)中の施行を目指し、不動産の所有権に関する登記を申請する際に、国籍などの情報を法務局に届け出ることを義務化する方針が示されました。これは、特に日本にお住まいの外国人の方や、海外に住んでいる方が日本の不動産を取得・相続する際に、手続きが少し変わることを意味します。

この記事では、この新しい制度について、何が、いつから、どのように変わるのか、そして立場ごとにどのような準備が必要になるのかを、司法書士が分かりやすく解説していきます。

なぜ今?国籍記入が義務化される3つの背景

そもそも、なぜ今になって国籍の記入が義務化されるのでしょうか。これには、主に3つの社会的な背景があります。

  1. 不動産市場の透明化:誰がどの不動産を所有しているのかをより明確にすることで、取引の安全性を高める狙いがあります。
  2. 経済安全保障の観点:国の安全に関わるような土地が、どの国の個人や法人によって所有されているのかを国が把握する必要性が高まっています。
  3. 空き家問題への対策:所有者が海外にいて連絡が取れないといったケースに対応しやすくするため、国籍や国内の連絡先を把握する目的もあります。

私たち司法書士の実務においても、所有者様が海外にお住まいの場合にご連絡が難しく、手続きに時間を要することがありました。今回の法改正は、こうした課題に対応し、より円滑で安全な不動産取引を実現するための重要な一歩と言えるでしょう。

いつから始まる?対象者と手続きの概要

新しい制度のポイントを整理してみましょう。

  • 開始時期:2026年度(令和8年度)中の施行を目指す方針です。具体的な施行日は、今後の政省令で定められる予定です。
  • 対象者:報道等によれば、不動産の所有権に関する登記(売買、相続、贈与など)を申請する個人の方が主な対象となる方向で調整が進められています。法人の場合の具体的な取り扱いについては、今後の公表資料で詳細が示される見込みです。
  • 手続きの概要:登記を申請する際、国籍などの情報の提出が求められる方向で検討されています。具体的な提出方法や、それを証明する書類(パスポートの写しなど)の要否については、今後の法務省令などで詳細が定められる見込みです。

次の章では、この変更が「ご自身の立場」で具体的にどのような影響をもたらすのかを、詳しく見ていきましょう。

海外在住の日本人・外国人の方:国内連絡先の届出も

海外にお住まいの方が、日本の不動産を相続したり購入したりする際にも、国籍の証明が必要となります。

海外在住の場合、国籍証明は現地の日本大使館や領事館で取得する「在留証明書」や、パスポートの写しなどが考えられます。また、遺産分割協議書などの書類には、ご本人の署名であることを証明する「署名証明書(サイン証明)」も必要です。これらの書類は取得に時間がかかる場合もあるため、余裕を持ったスケジュールで準備を始めることが重要です。

また、海外在住の方については、今後導入が検討されている国籍等の届出とは別に、もう一つ重要な制度があります。それは、2024年4月1日から既に始まっている「国内連絡先に関する事項の申出制度」です。(参考:法務省 令和6年4月1日以降にする所有権に関する登記の申請について)これは、海外にお住まいの所有者様に代わって、日本国内で連絡を受け取る方(ご親族や司法書士など)を登記できる制度です。国籍の届出と併せて、国内連絡先も定めておくと、その後の手続きがスムーズに進むでしょう。海外にお住まいで日本の不動産を相続されるケースについては、海外在住の相続人がいる相続登記の手続きでも詳しく解説しています。

日本人・日本法人の方:取引相手の確認が重要に

「自分は日本人だから関係ない」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。不動産の売買などで、お相手が外国人や海外在住の方である場合、この新しい制度は取引全体に影響します。

例えば、買主様が外国人の方であれば、その方が国籍を証明する書類をきちんと準備できなければ、所有権移転登記が申請できません。登記ができなければ、売買代金の決済も完了できず、最悪の場合、契約が白紙に戻ってしまう可能性もゼロではありません。

そのため、今後は不動産の個人間売買などを行う際、契約の段階から、お互いの必要書類について確認し合うことがより一層重要になります。取引をスムーズに進めるためにも、法改正の内容を理解しておくことが大切です。

不動産登記の国籍証明に必要な書類(パスポート、在留カードなど)がテーブルに並べられている。

こんな時どうする?国籍記入義務化のQ&A

中には、特別なご事情を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、想定される具体的なお悩みについて、Q&A形式でお答えします。

Q. 国籍を証明する書類がない・国籍不明の場合は?

これは非常に難しい問題です。何らかの事情でパスポートや在留カードなどの公的な証明書をお持ちでない場合、国籍の届出が困難になる可能性があります。

このようなケースでは、画一的な対応は難しく、個別の事情に応じて法務局と事前に協議を重ねる必要があります。例えば、出生証明書や過去の記録など、国籍を推認できる他の書類で代替できないか、といった交渉が考えられます。しかし、最終的に証明が難しいと判断されるリスクも伴います。
手続きが非常に複雑になることが予想されるため、このような状況に当てはまる可能性が少しでもある方は、必ず早い段階で司法書士にご相談ください。私たち専門家が、法務局との協議を含め、最善の方法を一緒に考えさせていただきます。

Q. 重国籍の場合、どの国籍を記入すればよい?

日本国籍と外国籍の両方をお持ちの場合(重国籍)の具体的な取り扱いについては、今後の法務省令などで詳細が定められる見込みです。一般的に、日本の法律が適用される手続きでは日本国民として扱われることが多いですが、この登記制度でどの国籍を届け出るべきかは、正式な発表を確認する必要があります。

ただし、外国籍のみを複数お持ちの場合は、どの国籍を届け出るか、あるいは全ての国籍を届け出る必要があるかなど、具体的な取り扱いは今後の通達で詳細が定められる見込みです。ご自身の状況に合わせて、適切な対応が必要となりますので、ご不明な点があれば専門家にご確認ください。

Q. 相続登記で、亡くなった親の国籍が不明な場合は?

相続登記は、亡くなった方(被相続人)から相続人へ名義を変更する手続きです。今回の法改正は、新たに所有者となる「相続人」の国籍を届け出るものですので、基本的には亡くなった方の国籍証明は不要です。

しかし、相続手続きを進める過程で、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本などを収集します。その中で、国籍に関する情報が必要となる場面も考えられます。特に、被相続人が外国籍であった場合や、相続人の中に連絡が取れない相続人や海外在住の相続人がいる場合、手続きは複雑になりがちです。戸籍の収集や遺産分割協議など、相続登記には専門的な知識が不可欠ですので、お困りの際は司法書士にご相談ください。

手続きに不安な方は司法書士への相談が安心です

ここまでご説明したように、2026年度からの不動産登記の国籍記入義務化は、多くの方に関わる重要な変更です。特に外国人の方や海外在住の方が関わる手続きは、これまで以上に慎重な準備が必要となります。
「自分の場合はどの書類が必要なんだろう?」「手続きが複雑で、一人で進めるのは不安…」
もし少しでもご不安を感じたら、私たち司法書士にご相談いただくのが最も安心な方法です。

司法書士に依頼する3つのメリット

登記の専門家である司法書士にご依頼いただくことで、お客様には主に3つのメリットがあります。

  1. 複雑な書類準備をお任せできる:国籍を証明する書類の収集や、その他の必要書類の作成まで、専門家が正確かつ迅速にサポートします。お客様ご自身で役所を回る手間や時間を大幅に削減できます。
  2. 法務局との円滑な連携:専門的な内容について、私たちがお客様に代わって法務局と協議・調整を行います。イレギュラーなケースでも、最適な解決策をご提案します。
  3. 関連手続きも一括でサポート:不動産登記だけでなく、その前提となる遺産分割協議書の作成や、売買契約に関するアドバイスなど、関連する手続きもワンストップでご相談いただけます。

当事務所では、お客様のご負担を少しでも軽くするため、ご自宅などへの「無料訪問面談」や、お仕事帰りにもご相談いただきやすい「土日祝21時までの対応」を徹底しております。

えなみ司法書士事務所の司法書士が無料訪問相談で顧客の相談に乗っている様子。

当事務所のサポート内容とご相談の流れ

えなみ司法書士事務所では、今回の法改正にも万全の体制で対応し、お客様の不動産登記手続きをサポートいたします。

【ご相談からの流れ】

  1. 無料相談のご予約:お電話またはお問い合わせフォームから、ご希望の日時をお知らせください。
  2. 無料訪問面談:司法書士がご自宅やご指定の場所へお伺いし、詳しい状況をお聞きします。
  3. お見積りのご提示:手続きに必要な費用総額を明確にご提示します。ご提示した司法書士報酬について、後から追加料金をいただくことは原則としてありません。
  4. ご依頼・手続き開始:ご納得いただけましたら、正式にご依頼ください。書類の収集・作成から法務局への申請まで、責任を持って進めます。
  5. 手続き完了・書類のお渡し:登記が完了しましたら、登記識別情報通知(権利証)など一式の書類をお届けします。

【お客様へご協力のお願い】
法改正に伴い、不動産登記手続きにおいて、お客様の国籍を確認するための公的な証明書のご提示をお願いすることがございます。特に海外の書類が必要となる場合、取得にお時間がかかることも予想されます。円滑な手続きのため、お早めにご相談いただき、必要書類のご準備にご協力いただけますようお願い申し上げます。

不動産登記の国籍記入義務化に関して、ご不明な点やご不安なことがございましたら、どうぞお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。お客様の状況に合わせた最適なサポートをご提供いたします。

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